こころふ日記 ~公認心理師が子育てや心理学のことなどを語るブログ~

公認心理師のこころふが、子育てや心理学のことなど気ままに書くブログです。

“テレビ育児”が子どもに与える影響について考えてみた。

こんばんは。 

2児の父であり長期育休中の公認心理師こころふです。 

 

前回“語りかけ育児”について記事を書いたところですが、 

それと関連して、今回はいわゆる“テレビ育児”について書いてみます。 

 

 

わが家のテレビ育児 

 

みなさん子どもにどのくらいテレビをみせていますか? 

 

「家事の間ずっとみせている」、「なるべくみせないようしている」 

「ていうかもう、テレビじゃなくてスマホで動画見せてるし」などなど 

いろいろな親御さんがいらっしゃることと思います。 

 

うちは正直、 かなりみせてますね(;^ω^) 

 

実際、「テレビは全然みせてないというママさんに会ったこともあるし、 

ネット検索してもそういう方はけっこういるみたいだけど、 

 

いや、どうやったらできるの!? 

という気持ちしかないです(笑) 

 

そりゃまぁ見せずにすむならそうしたいところですが。 

 

ご飯の用意、洗濯物、風呂そうじetc…と無数にこなすべき家事はありますが、 

そんななかでも子どもらは容赦なく次々と要求してきます。 

 

「お菓子食べた~い」「ハサミどこいったの~?」 

それこそ「テレビみせて~」とかね。 

 

 

もうね、 

 

「うるせ~!知るか~!!」 

 

って言いたくもなりますよ。我慢するけど。

 

そんな中、“テレビさん”はわが家の救世主です。 

 

ポチっとリモコンのボタンを押すだけで、 

子どもからの要求の嵐がだいぶ弱まりますからね。 

 

テレビさん、そしてNHK(Eテレ)さんには足を向けて寝られません(笑) 

 

でもね、 

少しは罪悪感もあるんですよ。 

 

本当は子どもの遊びにもっとつきあってあげたい、 

絵本の読み聞かせをもっとしてあげたい、という気持ちもあります。 

 

それに、「テレビ育児」は子どもに悪影響があるとかっていうじゃないですか。 

言葉の発達が妨げられるとか、集中力がつかないとか。 

 

それこそ前回の“語りかけ育児”の本にだって、 

テレビは1日30分までがいい、なんて書かれてました。 

 

30分か・・・ 

わが家なんて余裕で3時間くらいはみせてますよ。はぁ・・

 

きっと同じようなモヤモヤを抱えている親御さんもたくさんいるのではないかと思います。

 

でも、ここで考えてみたんです。 

実際のところ、テレビを長時間みせることは、どのくらい子どもに悪影響があるのかなぁ、と。 

 

今回ちょっと調べてみました。 

 

 

テレビの悪影響は心配しなくてもいい? 

 

 

今回参考にさせていただいたのが、こちらの記事。 

 

発達心理学を専門にしている、 

お茶の水大学教授の菅原ますみさんへのインタビュー記事です。

 

菅原さんは、当NHKが実施していた「子どもに良い放送プロジェクト」に

共同研究者として参加していたそうです。

ここを見るといろいろと研究結果がのっています。

 

番組研究 - “子どもに良い放送”プロジェクト | NHK放送文化研究所

 

結論から言うと、 

 

テレビの長時間視聴については、それほど気にしなくてもいいのではないか、 

ということになります。 

 

少なくともテレビ視聴そのものが、 

発達にあきらかな悪影響を及ぼしたり、問題行動に結びつくといった科学的根拠はないようです。 

 

ただ、だからといって、 

ず~っとテレビをみせておいてもいいってことでもありません。 

 

発達心理学の研究では、 

絵本読みや、外遊びを通した人とのコミュニケーションが、 

子どもの語彙量を増やすということが分かっています。 

 

テレビをずっとみせていたら、絵本読みや外遊びの時間がとれませんよね。 

そうすると、子どもの語彙が増えることはあまり期待できなくなります。 

 

逆にいえば、テレビを全くみせない家庭であっても、 

絵本を読んであげなかったり、外遊びをさせなかったりすれば、 

同様に語彙は増えづらくなるということです。 

 

つまり、テレビの長時間視聴自体にはそれほど問題がなくても、 

間接的に、子どもの発達のチャンスを奪ってしまいうる、ということになります。 

 

とても腑におちた気がします 

 

 

他の研究でははっきりと悪影響がある主張する研究もあるそうなのです。 

 

ただ、そういった研究は、 

単に「行動に問題がある子」が「テレビを長時間視聴している」傾向が強い、という 

相関関係を指摘しているにすぎないらしいのです。  

 

これでは、テレビを長時間視聴したから、子どもの行動に問題が起きた、 

という因果関係があるとは言い切れません。 

 

むしろ反対に、

「子どもの行動面に問題が多い」(手がかかる)から、 

親がテレビを長くみせざるを得ない、のかもしれないのです。 

 

その点、菅原さんの研究は、数年にわたる大規模な追跡調査なので、 

こちらの方が信頼性は高いと思います。 

 

なお、補足として、 

テレビの内容が暴力的であったり、性的な内容だったりすると、 

子どもにネガティブな影響があるそうです。 

 

反面、子どもの年齢にふさわしい教育的内容であればポジティブな影響がある、 

という結果も出ているそうです。 

 

またテレビを親子でいっしょにみて、 

コミュニケーションツールのひとつにすることは意義があるそうです。 

これを「対話的共有視聴」というらしく、絵本と同様に、 

幼児の語彙量を増やす効果があるそうです。 

 

 

おわりに 

 

というわけで、今回テレビ視聴の子どもへの影響について調べたことを書いてみました。 

 

思ったほどの悪影響はないとのことで、ちょっと罪悪感がなくなりました(笑) 

 

むしろ、多くの子育てママ・パパにとって、 

テレビは便利な子育てツールとして役立っているのではないでしょうか。 

 

もちろん、「全くみせない」という方はすごいと思うし、 

理想的にはそれがいいのかもしれません。 

 

ただ、だからといって、テレビをとっぱらって、 

全時間フル稼働で子ども対応するって、誰にでもできることじゃないし、 

ストレスも半端じゃない気がします。 

 

そのストレスのせいで、イライラして子どもに当たってしまう、 

というのでは本末転倒ですし。 

 

テレビなどのメディアとは、

うまいぐあいに付き合っていくのがよさそうですね。 

 

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございました!