こころふ日記 ~公認心理師が子育てや心理学のことなどを語るブログ~

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シリーズ依存症③ ~アルコール依存という病気~

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こんにちは。

今日娘にパソコンを踏まれて壊されてしまったこころふです。

ただただ悲しい…。

 

気をとりなおして…今回はアルコール依存について書いてみます。(スマホで)

 

最近はアルコール依存症の認知度というか、理解が少し進んできた気もしますが、まだまだ「だらしない」「意志が弱い」というイメージはあると思います。

アルコール依存が疑われる芸能人の酒での失敗に対して、コメンテーターが「甘い」とか「意志が弱い」とか言ったりしてるのを耳にすると…。

そういう問題じゃないんですけどね。

 

アルコール依存の特徴

アルコール依存は、酒をやめたくてもやめられず、生活に支障が出てしまっている状態を指します。

よくある例としては、仕事のストレスから酒を飲み始め、最初はそれでうまくいっていたのが、次第に酔うために必要な飲酒量が増えていき(耐性)、二日酔いで仕事に支障が出始める。

昼間から飲んでしまうことも。

 

仕事は続けられなくなり、体はボロボロ、家では奥さんに見放され…と、たどる道は悲しいものです。

暴力、飲酒運転、酒を盗むなど、犯罪にまで手を染めてしまう方もいます。

 

身体的、精神的、社会的、経済的にと、あらゆる面でダメージを受ける病気と言ってよいでしょう。

 

はたから見たら、人生を棒にふるレベルで酒を飲むことの意味が分からないと思います。

やめたらいいのに、と。

私も最初はそう思っていました、いや、今でも心底理解できているわけではないと思います。でも、それがこの病気の怖いところなんですね。

 

松本俊彦先生の表現をかりれば、

アルコールに「脳をハイジャックされてしまっている」状態なのです。

 

診断基準に沿っていくと、まず渇望

とにかく酒への執着が半端ではない。

そして、コントロール障害。自分で飲酒をコントロールできない。

耐性。酔うための必要量が増えてしまう。

離脱症状。酒をやめようとすると、手が震えたり、異様に汗が出たり、非常に辛い状態。これがあるからやめにくい。

飲酒中心の生活。酒が一番大事なものになり、他のことがどうでもよくなってしまう。

有害な結果が起きているのにやめられない。

これら6つの特徴のうち、3つあてはまればアルコール依存症と診断可能です。

 

アルコールの依存性

アルコールは立派な(?)薬物です。

依存性はかなりのものです。

 

よく、「なんで大麻は違法なのにアルコールは合法なのか!?」「アルコールがいいのなら、大麻も合法にするべき!」という声を聞きます。

以前いっしょに働かせてもらった精神科の先生の話では、「たしかにアルコールのほうが危険。ただ、アルコールが危険すぎるというだけで、大麻だって安全なわけじゃないんだ」とのことでした。

うーん、そんなに危ないものを、私たちは日常的に飲んでるわけですから、怖い話です。

流通しすぎていて、規制をかけるのが困難なのでしょうね。

ただ、アルコールの薬理作用だけで依存症になるわけではなく、背景に別の精神疾患が隠れていたり、人生の生きづらさ、不安、孤独感が関係していることが多いので、そのあたりは見逃してはいけません。

 

相談にくるのは誰?

以前依存症の相談にも関わっていましたが、多くの場合、相談にくるのは本人ではなく家族です。

アルコールに関しては、依存を抱える当事者の奥さんが来ることが特に多いです。

 

これは、依存症がいかに周りを巻き込み困らせる病気であるかを表しているのだと思います。

本人も困っているはずなのですが、やはり自ら相談機関に足を運ぶ勇気はなかなかもてないものです。だから本人からの相談は少ないのです。

 

家族への支援

なので、まずは家族支援となります。

最初に家族の話を聴き、これまでの苦労をねぎらいます。

そのうえで、本人への関わりのコツをアドバイスしたり、自助グループや家族教室を紹介したりすることが多いです。

 

例えば、家族は本人を責めたり、叱ったり、説教してはいけません。

家族はこれまでさんざん迷惑をかけられてきて、辛い思いをしてきた。なのに、本人をかばうのか、と言われてしまうかもしれません。その気持ちはよくわかります。

ただ、本人を責めるだけでうまくいくはずはなく、むしろ関係を悪化させるだけです。

それよりも、冷静に接すること、本人のできていることは認めてあげること、アイメッセージ(主語を「私」にして気持ちを伝えること)を使うことなどを意識することで、少しずつ関係性を改善していくことを目指します。

 

 

本人が来るようになればgood!

家族教室への参加などをとおして、家族のメンタルが安定してくると、不思議と当事者本人のメンタルも落ち着いてきます。途中から本人もいっしょに相談にきてくれるようになることもあります。

 

本人が来てくれたときには、「よく来てくださいましたね!」と、ちょっと大げさくらいにねぎらってあげることが大事です。 

実際、本人が本当にくるかどうかって、支援者側からすると相談直前までけっこう不安なんですよ。だから、「来てくれてうれしい」というのは、偽らざる本当の気持ちだったりします。

 

こうして、本人も定期的に相談に来るようになれば、大きな進展だと考えてよいでしょう。

もちろん、回復は始まったばかりであり、本当によくなるには長い時間が必要です。

 

 

おわりに

まだまだ全然書き足りない気もしますが、長くなったのでとりあえず以上にさせていただきます。

 

アルコールは、コンビニでも手に入るほど、身近なものでありながら、過度にハマるととても恐ろしいものです。

私たちはそうした認識を忘れるべきではないでしょう。

また、さまざまな事情から、アルコール依存になってしまった方を、第3者が安易に責めてはいけません。その権利があるとすれば、実害を被った家族か、あるいは本人だけです。(責めてよいことはないですが)

 

この病気と向き合うことはとても大変なことです。責めるのではなく、理解をしてあげましょう。

依存症と向き合う人たちには、とても人間的に魅力的な方が多いですよ(^^) 

 

以上になります。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

(スマホで書くのやっぱり大変…)

 

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