こんにちは。
今回も子育て関係の本を紹介してみたいと思います!
『いい子に育てると犯罪者になります』
著者は岡本茂樹さん。
臨床教育学者で、刑務所で受刑者の更生支援にも携わっていた方ですが、
残念ながら2015年に亡くなっています。
この本は、岡本さんが亡くなられた後に、出版されたものです。
新潮社の新書です。
さて、衝撃的なタイトルの本書ですが、
読み進めていくと、
刑務所の出入りを繰り返す、いわゆる累犯受刑者には、
「いい子」だった人が多いとの内容が目にとまります。
幼少期から無理を重ね、
親の期待する役割を演じることに耐え切れなくなった結果、
つもりつもった否定的な感情が「犯罪」という形で爆発するというのです。
また、少年院の問題についても言及しています。
第2章のサブタイトルが「少年院に入ると、さらに悪くなる」で、
こちらも注目すべき内容です。
例えば、少年院では私語が禁止されています。
これにより、少年たちは、自分の気持ちを開放することができなくなり、
心理的に抑圧されてしまいます。
私たちの日常においては、私語が禁止など、ちょっと考えにくいことです。
それを少年院の少年たちは、基本的に24時間強いられている・・・
想像するだけで息苦しくなる。
「さらに悪くなる」という著者の主張もうなづける気がします。
私としては、少年院で働く方がわるいわけではなく、
おそらくは、少年院の中で昔から根づいているシステムが問題なのであり、
そこではあたりまえの“文化”なのだと思います。
見直していく必要はあると思いますが。
心理臨床の話に置き換えてみると、
こころや行動面の問題を抱える子どもたちと向き合うときには、
その子がどんな背景を抱えているか、何が問題行動に走らせているのか、
といった視点で考えます。
例えば、幼少期に親から虐待を受けてきたとか、
学校で強いストレスにさらされながら生活してきたとか、
そういった背景が見えてくることが多いです。
そして、そのようなこころの内に抱えた感情を、
うまく人に話すことができずに生きてきている場合が多いのです。
著者は、「人に迷惑をかけてはいけない」という考え方は、危険だと主張します。
それは、しんどい、辛いときでも、
感情を人に吐き出せなくなってしまうことにつながるからです。
よく言われることですが、上手に人に甘えられる人の方が精神的には健全です。
今回、私自身の子育ての仕方をかえりみたとき、
やっぱりわが子を「いい子」に育てようとしていることに気がつきました。
著者が主張するのは、
指示や命令を子どもにたくさんすると、プレッシャーから子どもらしさを失ってしまうということ、
自分の思っていることや考えていることをはっきり言えるように促すことが大事、
ということです。
わが子には無用なプレッシャーを背負わせることなく、
「子どもらしく」育っていってほしいな、とあらためて思ったのでした。
感想文のようになってしまいましたが、
とても読みやすく、子育ての参考になる良書ですよ。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます(*´▽`*)