気づいたら開始1か月経過 & とりあえずの目標としていた30記事作成を達成していました!
さて、前回は依存症から回復するための自助グループについて書きました。
ただ、そもそも当事者本人が依存症であることを認めないというのが、依存症者の特徴の1つです。(「否認の病」なんて言われます)
なので、自助グループなどの資源にたどりつくまでがなかなか難しいという課題があります。
そこで重要になってくるのが、家族支援です。
私自身も、依存問題を抱える本人より、家族への支援に関わることが中心でした。
そんな経験をもとに、家族支援とはどういうものなのか、書いてみたいと思います。
CRAFT薬物・アルコール依存症からの脱出―あなたの家族を治療につなげるために
なぜ家族支援なの?
家族支援が重要なのは、なぜなのでしょうか?
それは、最初に困ってだれかに相談するのは、本人よりも家族であることが多いからです。
支援者としては、足を運んでくれない当事者本人に、直接支援することは難しいです。仮に来てくれたとしても、家族に連れられてしぶしぶ、という場合が少なくありません。
なんとかしたいというモチベーションは家族のほうが高いので、まずは家族に働きかけるのがセオリーです。
叱責、説教をひかえる
相談に来ていただいた家族には、本人との関わり方を見直してもらいます。
家族はたいてい、依存問題を抱える本人に対し、叱責、説教、説得を繰り返してきています。
しかし、これらの行動は無意味、どころか逆効果です。
依存症を抱える当事者は、常に自分の依存行動の言い訳を探しています。
もし家族にくどくど説教されたとしたら、当然ストレスを感じます。
そうすると、「おれが酒を飲んでしまうのは、家族からのうるさい説教のせいだ」と理由づけられてしまい、自身の依存問題に向き合いづらくなってしまうのです。
また、叱責や説教は、お互いの関係悪化につながり、まともにコミュニケーションがとれなくなってしまう、という問題があります。
散々迷惑をかけられてきた家族が、叱責、説教したくなる気持ちはすごくよくわかります。
ですが、そもそも、説教で問題が改善されるのであれば、誰も苦労はしません。
いかに冷静に対応できるようになるかが、上手くいくかどうかのわかれどころです。
効果的なコミュニケーション・スキル
では、具体的にどのように関わったらよいのか?という話に入ります。
ここでは、依存症の家族支援で有名な吉田清次先生の著者『CRAFT 薬物・アルコール依存症からの脱出 あなたの家族を治療につなげるために』に載っている、8つのポイントを挙げます。
①“わたし”を主語にした言い方をする
いわゆるⅠ(わたし)メッセージです。You(あなた)が主語になると喧嘩になりやすい。
②肯定的な言い方をする
✖「飲むのをやめなかったら肝硬変になるよ」
〇「今飲むのをやめたら、肝臓は回復しますよ」
③簡潔に言う
くどくど言わずに簡潔に。
④具体的な行動に言及する
✖「少しは手伝ってよ」
〇「お皿をふくのを手伝ってくれると助かります」
⑤自分の感情に名前をつける
「昨日の酔っ払った姿を見て、恥ずかしかったしショックだった」
⑥部分的に責任を受け入れる
あなたを責めているのではないというメッセージ。
⑦思いやりのある発言をする
「北風」よりも「太陽」で。
⑧支援を申し出る
相談に行くことなどを提案する。
いずれも、相手に伝えたいことを伝えるためのスキルです。
簡潔、ポジティブな言い方をすることで、言いたいことが伝わりやすくなります。
そうすると、本人が相談の場に足を運ぶ可能性も高くなります。
家族支援をしている機関
本人に対する関わり方を挙げてみましたが、これを自力で習得して使いこなすのは、非常に難しいと思います。
もし知識として理解できたとしても、これまで自分が散々迷惑をかけられた相手を目の前にして、冷静にスキルを使いこなすなど、簡単にできることではありません。
なので、相談でき、援助してもらえる相手が必要なのです。
ここでは、どのような相談先があるのかを挙げてみます。
①依存症専門医療機関
専門の医療機関である場合、家族だけでも相談を受けてくれるはずです。家族教室などの集まりを開催しているところもあります。ベッドのある病院であれば、必要に応じて本人が入院治療を受けることも可能です。ムリヤリというわけにはいきませんが。
家族自身が、休憩や本人と離れること、共依存からの脱却などを目的に入院するというケースもあるようです。
②自助グループ
前回自助グループについての記事を書きましたが、実は家族の集まる自助グループもあります。アルコールであればアラノン、薬物であればナラノン、ギャンブルであればギャマノンなど、たくさんあります。同じ悩みを抱える仲間ができ、支え合うことで、元気になる方はたくさんいます。
③行政機関(精神保健福祉センター、保健所など)
精神保健福祉センターは各都道府県に1カ所以上あり、依存症対策・支援に力を入れて始めているところが増えています。家族の相談にのったり、家族教室を開催したりしているところも多いです。相談は無料です。
おわりに
家族の悩みは深いです。
依存症当事者に対して、強い恨みをもっているという人も少なくありません。話を聞いていると、それは無理もないことだなと感じます。
嘘をつかれること、期待を裏切られることは日常茶飯事であり、中には暴力を受けた経験のある方もいます。
そのような相手に対して、感情的にならずにコミュニケーションをとることはとても難しいです。その際、誰かしらサポーターになってくれる人がいれば、感情的に安定し、冷静な対応をとりやすくなります。
今まさに家族の依存問題で悩んでいるという方は、ぜひどこかしらの相談先に相談してみてください。
CRAFT薬物・アルコール依存症からの脱出―あなたの家族を治療につなげるために
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