こころふ日記 ~公認心理師が子育てや心理学のことなどを語るブログ~

公認心理師のこころふが、子育てや心理学のことなど気ままに書くブログです。

シリーズ依存症⑨ 家族支援って何をするの?

家族イラスト/無料イラスト・フリー素材

気づいたら開始1か月経過 & とりあえずの目標としていた30記事作成を達成していました!

 

 

さて、前回は依存症から回復するための自助グループについて書きました。

 ただ、そもそも当事者本人が依存症であることを認めないというのが、依存症者の特徴の1つです。(「否認の病」なんて言われます)

なので、自助グループなどの資源にたどりつくまでがなかなか難しいという課題があります。

 

そこで重要になってくるのが、家族支援です。

 

私自身も、依存問題を抱える本人より、家族への支援に関わることが中心でした。

そんな経験をもとに、家族支援とはどういうものなのか、書いてみたいと思います。

 

CRAFT薬物・アルコール依存症からの脱出―あなたの家族を治療につなげるために

なぜ家族支援なの?

 

家族支援が重要なのは、なぜなのでしょうか?

それは、最初に困ってだれかに相談するのは、本人よりも家族であることが多いからです。

 

支援者としては、足を運んでくれない当事者本人に、直接支援することは難しいです。仮に来てくれたとしても、家族に連れられてしぶしぶ、という場合が少なくありません。

なんとかしたいというモチベーションは家族のほうが高いので、まずは家族に働きかけるのがセオリーです。

 

叱責、説教をひかえる

相談に来ていただいた家族には、本人との関わり方を見直してもらいます。

家族はたいてい、依存問題を抱える本人に対し、叱責、説教、説得を繰り返してきています。

しかし、これらの行動は無意味、どころか逆効果です。

 

依存症を抱える当事者は、常に自分の依存行動の言い訳を探しています。

もし家族にくどくど説教されたとしたら、当然ストレスを感じます。

そうすると、「おれが酒を飲んでしまうのは、家族からのうるさい説教のせいだ」と理由づけられてしまい、自身の依存問題に向き合いづらくなってしまうのです。

 

 また、叱責や説教は、お互いの関係悪化につながり、まともにコミュニケーションがとれなくなってしまう、という問題があります。

 

散々迷惑をかけられてきた家族が、叱責、説教したくなる気持ちはすごくよくわかります。

ですが、そもそも、説教で問題が改善されるのであれば、誰も苦労はしません。

いかに冷静に対応できるようになるかが、上手くいくかどうかのわかれどころです。

 

効果的なコミュニケーション・スキル

では、具体的にどのように関わったらよいのか?という話に入ります。

ここでは、依存症の家族支援で有名な吉田清次先生の著者『CRAFT 薬物・アルコール依存症からの脱出 あなたの家族を治療につなげるために』に載っている、8つのポイントを挙げます。

①“わたし”を主語にした言い方をする

 いわゆるⅠ(わたし)メッセージです。You(あなた)が主語になると喧嘩になりやすい。

②肯定的な言い方をする

 ✖「飲むのをやめなかったら肝硬変になるよ」

 〇「今飲むのをやめたら、肝臓は回復しますよ」

③簡潔に言う

 くどくど言わずに簡潔に。 

④具体的な行動に言及する

 ✖「少しは手伝ってよ」

 〇「お皿をふくのを手伝ってくれると助かります」

⑤自分の感情に名前をつける

 「昨日の酔っ払った姿を見て、恥ずかしかったしショックだった」

⑥部分的に責任を受け入れる

 あなたを責めているのではないというメッセージ。

⑦思いやりのある発言をする

 「北風」よりも「太陽」で。

⑧支援を申し出る

  相談に行くことなどを提案する。

 

いずれも、相手に伝えたいことを伝えるためのスキルです。

簡潔、ポジティブな言い方をすることで、言いたいことが伝わりやすくなります。

そうすると、本人が相談の場に足を運ぶ可能性も高くなります。

 

 

家族支援をしている機関

 本人に対する関わり方を挙げてみましたが、これを自力で習得して使いこなすのは、非常に難しいと思います。

もし知識として理解できたとしても、これまで自分が散々迷惑をかけられた相手を目の前にして、冷静にスキルを使いこなすなど、簡単にできることではありません。

なので、相談でき、援助してもらえる相手が必要なのです。

ここでは、どのような相談先があるのかを挙げてみます。

 

①依存症専門医療機関

 専門の医療機関である場合、家族だけでも相談を受けてくれるはずです。家族教室などの集まりを開催しているところもあります。ベッドのある病院であれば、必要に応じて本人が入院治療を受けることも可能です。ムリヤリというわけにはいきませんが。

 家族自身が、休憩や本人と離れること、共依存からの脱却などを目的に入院するというケースもあるようです。

 

②自助グループ

 前回自助グループについての記事を書きましたが、実は家族の集まる自助グループもあります。アルコールであればアラノン、薬物であればナラノン、ギャンブルであればギャマノンなど、たくさんあります。同じ悩みを抱える仲間ができ、支え合うことで、元気になる方はたくさんいます。

 

③行政機関(精神保健福祉センター、保健所など)

 精神保健福祉センターは各都道府県に1カ所以上あり、依存症対策・支援に力を入れて始めているところが増えています。家族の相談にのったり、家族教室を開催したりしているところも多いです。相談は無料です。

 

おわりに

家族の悩みは深いです。

依存症当事者に対して、強い恨みをもっているという人も少なくありません。話を聞いていると、それは無理もないことだなと感じます。 

嘘をつかれること、期待を裏切られることは日常茶飯事であり、中には暴力を受けた経験のある方もいます。

そのような相手に対して、感情的にならずにコミュニケーションをとることはとても難しいです。その際、誰かしらサポーターになってくれる人がいれば、感情的に安定し、冷静な対応をとりやすくなります。

 

今まさに家族の依存問題で悩んでいるという方は、ぜひどこかしらの相談先に相談してみてください。 

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シリーズ依存症⑧ 自助グループについて

自助グループのイラスト(笑顔)

公認心理師のこころふです。

以前、依存症支援に携わっていた経験があることから、依存症について書いています。

 

今回のテーマは「自助グループ」です。

これまでの記事でも何度かふれてきていますが、あらためてどういったものかについて書いてみたいと思います。

 

自助グループとは?

相互援助グループともいわれますが、ここでは自助グループで統一して書きます。

文字通り、助け合うためのグループです。

例えばAA(アルコホーリクス・アノニマス)であれば、アルコール依存を抱える当事者たちが集まるグループで、参加者同士で助け合い、酒をやめ続けることを目標とします。

 

自助グループは、依存症からの回復にとって非常に重要な資源です。

自助グループに通うことで、「もう〇年もアルコール(薬物、ギャンブル)はやめています」と言えるようになる人はたくさんいます。

 

自助グループができた経緯

1930年代のアメリカで、2人のアルコール依存者が偶然出会い、お互いの経験を語り合ううちに、酒をやめられるようになったのが、自助グループAAの始まりとされています。

当時、医者もさじを投げていたアルコール依存患者の治療を、当事者が発見した形になったのですから、これは医学史上の大事件でした。

AAが広まるにつれ、他の薬物依存やギャンブル依存など、さまざまな依存対象の自助グループがつくられていきます。

ちなみに、アノニマスとは、「無名の」「匿名の」という意味です。

実際、自助グループの参加者は、本名ではなくアノニマスネームというニックネームのような名前で呼び合う慣習があります。

 

さまざまな自助グループ

アルコール依存・・・AA(アルコホーリクス・アノニマス)、断酒会

薬物依存・・・NA(ナルコティクス・アノニマス)

ギャンブル依存・・・GA(ギャンブラーズ・アノニマス)

クレプトマニア・・・KA(クレプトマニアクス・アノニマス)

買い物依存・・・DA(デターズ・アノニマス)

性依存・・・SA(セックスアホーリクス・アノニマス)

などなど。

挙げるとキリがないほどたくさんあります。

 

マイナーな依存種になればなるほど、探すのが大変になる傾向はあります。

例えばAAなどは全国どこでも大体みつかりますが、DAは県外でないと見つからないとかはありますね。

また、同じ系列のアノニマスグループであっても、グループによって雰囲気が違うという話も聞きます。

「あっちのAAは合わなかったけど、こっちのAAは参加しやすい」といったこともあり得ます。

 

どんなことをするのか?

“ミーティング”という自分の体験、思いなどを順々に話していく活動が中心になります。その際、他者の話を批判してはいけません。

 

また、12ステップと呼ばれるプログラムがあります。

12ステップとは、例えばAAであれば、

1.私たちはアルコールに対し無力であり、思い通りに生きていけなくなっていたことを認めた。

2.自分を超えた大きな力が、私たちを健康な心に戻してくれると信じるようになった。

といった課題が12項目設けられていて、それに1つずつ取り組んでいくのです。

 

これを聞いて、「む?」とひっかかった方もいると思います。

自助グループではよく「ハイヤーパワー」という言葉が使われます。「自分の力を超えたより大きな力」というような意味です。それは神であったり、偉大な力であったり。

宗教とは関係ないらしいのですが、そういったものを連想してしまう方は少なくありません。それゆえ、1回参加してもすぐにドロップアウトしてしまうという人がたくさんいます。おそらく、日本だからこそなじまないという部分もあるのだと思います。

 

私も見学させていただいたことがありますが、正直なところ、最初は違和感を覚えました。「ハイヤーパワー」などの用語が特に。

すぐに慣れはするんですけどね。

 予備知識がないと、その慣れるまでに脱落してしまう可能性は高いと思います。

 

最初、当事者が一人で参加するのはとても勇気がいると思います。

支援者がかかわっている場合、事前に許可をとったうえで、いっしょに参加してもらうとよいですね。

 

自助グループは絶対か?

以前は、自助グループへの参加が回復のための絶対条件だと考える人も多かったそうです。自助グループに参加しない人を、「回復への意欲がない人」と捉えてしまう場合もあったそうです。

 

しかし、今では、そこまで極端な考え方の人は少なくなったと思います。

たしかに自助グループは、回復を考えるうえで、とても重要な資源ではあるのですが、上記したように、自助グループになじめない人は少なからずいます。

何度か通ってみて、どうしても合わない、むしろ苦痛だという人にとっては、通うことがマイナスになることも考えられます。

「自助グループに行かないなら回復なんて無理だ」ではなく、「別の方法を考えよう」が建設的な考え方です。

 

また、支援者側の態度として、「自助グループを紹介しておけば間違いない」という考えがかなり蔓延しています。私自身も、少し前までそう信じていました。

でも、安易に自助グループを紹介することを疑問視する声もあります。

依存症に陥る背景はさまざまであるはずなのに、「依存症→→→自助グループ」というようにパターン的にアドバイスするのはどうなの?ということです。

なかには、ちょっとした生活の支援で立ち直る方もいます。(軽度の場合)

それをちゃんとしたアセスメント(見立て)もせず、必ずしも合うとは限らない自助グループを無理に勧めたしたら、もしかしたらマイナスの影響のほうが大きいかもしれません。

 

このあたりは、私も依存症支援にどっぷり浸かっていた頃は考えることができない視点でした。

このような考え方があるということを、離れてみて初めて知ったのです。

逆に言うと、それくらい依存症支援にとって自助グループが重大な位置づけにあるということなのですが・・・。

自助グループが合わない人にはどのような支援が必要か、ということを常に考えておかなければいけませんね。

 

おわりに

今回は自助グループというテーマに絞って書いてみました。

自助グループというものの理解に、少しでも役に立てたとしたら幸いです。

 

ただ、ここまで書いておいてなんですが、百聞は一見にしかず、です。

 

自助グループは、基本的には当事者のみが参加を許されているのですが、

実は「オープンミーティング」と呼ばれる、家族、医療福祉・行政関係者など、当事者以外の人でも参加できる回があります。

 

こういった回に参加(見学?)することで、自助グループの実際を知ることができますので、興味のある方は足を運んでみるのもいいかもしれません。

グループ名と地域名で検索をかけていくと、どこでやっているのかおそらくわかると思います。

もっとも、このコロナ禍では厳しいか・・・

 

オンラインでミーティングを始めたグループもあると聞きます。

それはそれでよいことですが、早く通常運営できるようになることを祈っています。

 

以上です。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

 

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シリーズ依存症⑦ クレプトマニア~万引きをやめられない精神疾患~

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公認心理師のこころふです。

 

前回、前々回と、ギャンブル障害、ゲーム障害と行動嗜癖の話を書きました。

今回は、その流れで、クレプトマニア(窃盗症)について書きたいと思います。

 

 

元マラソン選手の逮捕。なぜ?

 

2年ほど前、元マラソン選手の原裕美子さんが、菓子3点、合計382円を万引きし、逮捕されました。

原さんは、決して買うお金がなかったわけではありません。

なのに、なぜ?

 

その後原さんは自身がクレプトマニアであることを告白し、話題となりました。

このときにクレプトマニアという言葉を知ったという方も少なくないと思います。

 

クレプトマニアとは?

 

クレプトマニアの日本語訳は「窃盗症」です。

一言でいえば、「盗みをやめるにやめられない精神疾患」です。

「盗みへの嗜癖」と言い換えてもよいでしょう。

 

DSM-Ⅴという精神科医の診断マニュアルでは、以下の診断基準が示されています。

 

A.個人的に用いるのでもなく、またはその金銭的価値のためでもなく、物を盗もうとする衝動に抵抗できなくなることが繰り返される。

 

B.窃盗におよぶ直前の緊張の高まり

 

C.窃盗を犯すときの快感、満足、または解放感

 

D.盗みは怒りまたは報復を表現するためのものでもなく、妄想または幻覚に反応したものでもない。

 

E.盗みは、素行障害、躁病エピソード、または反社会性人格障害ではうまく説明されない。

 

つまり、基本的には「利益のための窃盗」ではなく、「窃盗のための窃盗」であるといえます。

 

 

摂食障害との合併

 

クレプトマニアは、摂食障害との合併が非常に多いといわれています。

そのメカニズムは、よくわかっていないそうですが、クレプトマニア研究の第一人者である竹村医師は以下のとおり解説しています。

 

摂食障害はいわば、病的な飢餓状態にあり、そのなかで涸渇恐怖が生じます。

そのため、物を異様にためこむ傾向(ためこみマインド)があるのです。

この涸渇恐怖、ためこみマインドこそ、窃盗行動の原動力なのではないか、とのことです。

 

なお、合併するのは摂食障害だけではありません。

クレプトマニアを抱える人のうち9割ほどに、気分障害、アルコール依存など、何らかの合併症があるとのことです。

 

精神障害であり、犯罪でもある

クレプトマニアの特徴の一つに、司法的な対応がからむということがあります。

これは精神障害か犯罪かという2択ではなく、精神障害であり犯罪行為でもあるという認識が正しいと思います。

竹村医師は、「刑事責任は当然負うべきだが、本質的な解決を目指すなら刑期はできる限り短くし、治療に専念できる環境を整えるべきだ」とい主張されています。

 

回復のためには

 

簡単にですが、回復のための資源等を書きます。

①専門医療機関

 クレプトマニアを対象とした専門医療機関は、全国的にも数少ないのが現状です。

 よくクレプトマニアについて報道がなされるときに出てくるのが、群馬県にある赤城高原ホスピタルです。竹村医師が院長をつとめています。ここには、全国から患者が集まってくると聞きます。入院治療を受ける方も多くいるようです。薬でよくなるものではないので、使うとしても補助的な手段となります。

 

②精神療法

 認知行動療法や家族療法などの精神療法が用いられることがあります。

 

③自助グループ(KA)

 他の回でも書いていますが、依存症業界の重要な資源として自助グループがあります。クレプトマニアの場合、KA(クレプトマニアクス・アノニマス)というグループに参加することになります。ミーティング(それぞれが体験や想いを順番に語る)を通して、

自分の課題と向き合っていくことになります。

 

おわりに

正直なところ、これまでの臨床経験で、はっきりクレプトマニアと診断されている人の相談を受けたことはありません。

ただ、そうじゃないかなと思える相談者は何人かいました。

印象的だったのが、まだ小学生だった男の子が、何度も万引きを繰り返し、そんな自分を責めて涙を流していたことがありました。

過去に虐待を受けた経験のある子でした。

 

他にも、さまざまな生きづらさを抱えている当時高校生だった男の子が、やはりお店に入るときに衝動的にものを盗ってしまうと話していたことがありました。

 

そういった方の不安や辛さは計り知れないものがあります。

最悪の場合、思い詰めて自ら死を選んでしまうこともあるそうです。

 

まだ私自身勉強すべきことがたくさんありますが、今度そういった方に会うことがあれば、できるだけの援助をしてあげたいと思っています。

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。 

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シリーズ依存症⑥ ゲーム依存について考えてみた。

無料イラスト ゲームコントローラー
こんにちは。

公認心理師のこころふです。

 

これまで、さまざまな依存症について書いてきましたが、今回はゲーム依存について書きたいと思います。

 

 

WHOも認めたゲーム依存

 

2019年の5月、WHOが発行するICDの最新版(ICD-11)に、Gaming disorder(「ゲーム障害」「ゲーム症」と訳される)が収載されることが決まりました。

各種メディアで取り上げられ、さまざまな意見がとびかっています。

これと関連し、香川県で、通称「ゲーム規制条例」が施行されたことも話題を呼びました。

 

 

ゲーム依存って何?

 

簡単に言えば、ゲームにはまりすぎて、やめようとしてもやめられず、日常生活に支障をきたしてしまう状態です。

 

アメリカ精神医学会がつくったDSM-Ⅴ(精神科医の診断マニュアル)では、インターネット・ゲーム障害という項目があります。

もっともこれは、今後の研究課題として暫定的に定められたもので、厳密にはまだ診断名として確定しているわけではありません。

 

一方で、2019年の5月、WHOが発行するICDの最新版(ICD-11)に、Gaming disorder(「ゲーム障害」「ゲーム症」と訳される)が収載されることが決まりました。

こちらは、オンラインゲームだけではなく、オフラインゲームも対象に含みます。

(実際はオンラインゲームへの依存が多いとは言われています)

 

このことは各種メディアで取り上げられ、さまざまな意見がとびかっています。

 

これと関連した話で、香川県で、通称「ゲーム規制条例」が施行されたことも話題を呼びました。(この話題はいつか別の記事で書きたいです)

 

原因は?

 

人間の脳には報酬系と呼ばれる、人間が快感を得るための神経回路があります。

前頭前野や側坐核、海馬などの部位が関係しているといわれています。

 

人間は楽しいことをすると、報酬系が活性化します。

脳内にドーパミンと呼ばれる物質が分泌され、それが快感情を引き起こします。

 

快感を覚えた脳は、刺激を繰り返し得ようとしますが、次第に同じくらいの刺激には反応しづらくなり、より強い刺激でないと満足できなくなってしまいます。

ゲームの場合であれば、短時間のプレイでは満足できず、次第にプレイ時間が長くなっていきます。

 

ゲーム依存の原因については、上記のような説明がされることが多いと思います。

 

 

かつて「ゲーム脳」という言葉が生まれ、ゲームが脳を委縮させるなどの主張がはびこった時期もありました。

先に挙げた香川県のゲーム規制条例も、そのような主張が根拠の一つとなっているようです。

 

でも、よく考えてみましょう。

ゲームは本当にそんなに悪いものなのでしょうか?

 

 

報酬系やドーパミンだけでは説明できない

 

結論からいうと、先ほどの「ゲーム脳」は、現在ではかなりのトンデモ理論として位置づけられています。

科学的な根拠がないのです。

 

ゲームプレイヤーは身近にもたくさんいますが、ほとんどの人は、生活に支障が出るほどハマることはありません。

私自身もゲームは大好きで、たしかにときどき、猛烈にハマってしまうため、脳が快感を得ている感覚はわかる気がします。でも、例えばそれで仕事をサボったりはさすがにしません。

多くのプレイヤーが、熱中はするけれども、どこかで折り合いをつけてゲームと付き合っているはずなのです。

 

また、報酬系やドーパミンの話も、たしかにゲーム依存の一端を担っているとは思いますが、それだけでは説明は不十分です。

 

「シリーズ依存症①~なぜ人は依存症になるのか?~」などでも書いたとおり、依存症とは別の精神疾患、生きづらさ、孤独感などの、辛い気持ちが背景にあることが非常に多いのです。

 

ゲームを手に取れば、少なくともプレイしている間は辛い気持ちを紛らわすことができます。少しでも楽になるという経験をすると、それを繰り返し、最初は短い時間だったとしても、次第に時間が長くなるということは容易に想像ができます。

 

ゲーム障害といえるほどの状態に陥るかそうでないかは、個々に抱えている精神的な苦痛のレベルが大いに関係しているのです。

 

 

合併する精神障害や発達障害

 

ゲーム依存は、別の精神疾患との合併が多いと書きましたが、具体的にどのようなものがあるのでしょうか。主だったものを3つ取り上げてみます。

 

AD/HD(注意欠如/多動性障害)

 先行研究から、ゲーム依存者の中には、かなりの割合でAD/HDを抱える人が含まれていることが分かっています。

 AD/HDの特徴として、多動性、不注意、衝動性がありますが、なかでも不注意や衝動性が依存と関わっているといわれています。

 

②うつ病

 うつ病もゲーム依存と強い関係があることが分かっています。ともすると、ゲームへの没頭がうつ病を引き起こすと言われがちですが、はっきりとした根拠はありません。逆に、うつ病がゲームヘの過度な没頭を引き起こすと考えることもできます。ゲームをすることでうつ症状が改善したという報告もあります。

 

③不安障害

 強い不安はゲーム依存と関係があるといわれています。これも同様に、必ずしもゲームへの没頭が不安を引き起こすとは限りません。むしろ、不安を和らげるためにゲームをするということもあり得るでしょう。

 

 

他にもさまざまな精神疾患との関係を指摘する研究は多くあります。

おそらく、ゲーム依存が単独で発症するケースの方が少ないと思われます。

 

実はICD-11で収載される「ゲーム障害」についても、単独の精神障害として認定されることには賛否があります。ゲーム障害を一つの疾患とみるのか、生きづらさに対するコーピング(対処行動)とみるのか、今後も議論が続いていくこととは思いますが、臨床的には後者の考え方のほうが有用ではないかと思います。

 

 

予防方法

 

結論から言うと、確立された予防方法はありません。

 

ただ、先行研究によれば、ゲーム依存のリスク要因というものが示唆されています。つまり、これがあるとゲーム依存になりやすい、といった要因です。

これには、学校になじめない、いじめを受けている、成績がふるわない、親からの厳しいしつけ、虐待、本人の発達障害、精神障害などがあります。

 

これらのリスク要因を緩和することが予防につながる可能性はあります。

例えば、学校になじめるよう支援したり、学習が少しでも進みやすいよう配慮したりと、学校でできることもあります。

発達障害に関して言えば、早期からの診断・支援があると、予後がいいということも分かっているので、支援の手を入れてあげることが、予防にもつながり得ると思います。

 

 

治療方法

 

こちらも同様で、確立された治療方法はありません。

 

薬物療法や一部の心理療法(認知行動療法など)が有効だったという先行研究はあります。

ただし、例えばうつ病を合併している場合、うつ病に対する投薬治療や認知行動療法が行われることで、うつ病が改善し、ゲーム行動も落ち着く、というケースが多いようです。

つまり、ゲーム依存そのものに効果があるというより、うつ病が改善された結果として、ゲーム行動も改善されたとみるのが妥当だと思います。

 

AD/HDが合併するケースも同様です。投薬により、AD/HDの症状が落ち着くと、ゲーム行動も落ち着くというケースがあるのです。

これらのことからも、ゲーム依存は、別の精神障害や発達障害などにより2次的に起こる症状、もしくはコーピング(対処行動)とみるほうが、しっくりくる気がします。

 

 

おわりに

 

10数年現場で働いてきた私の経験からも、子どものゲームプレイに関する相談は増えてきていると感じます。なかには、本当に「ゲーム障害」と言えそうな子も目にします。

 

ただ、これは私自身への戒めでもありますが、表立って見える問題行動にばかりフォーカスしない方がよいということです。

 

ほとんどの場合、問題行動の裏には、その人が抱える精神的な苦痛や生きづらさが隠れています。

 

これは何も依存問題に限った話ではありません。

ただ、個人的には、特に依存問題でこの傾向、つまり表立った症状にのみ目がいってしまう傾向が強いのではないかと感じています。

一部でゲームを過剰に敵視するような風潮があることも、これと無関係ではないでしょう。

 

私は、依存問題の中でも、特にゲームやネットへの依存に関心が強いので、今後もこのテーマについては書いていくつもりです。

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

 

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シリーズ依存症⑤ ギャンブル依存のウソ・ホント

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公認心理師のこころふです。

不慮の事故でPCが壊れたので、すぐさま新しいPCを購入。

以前のPCは壊れる前から異様に重かったので、新しいPC(性能も前よりいいらしい)のスピードに驚きを隠せません。

たぶん100倍くらい速い!(体感)

快適!!

 

テンションも上がったところで、今回はギャンブル依存について書きたいと思います。

なお、これまでに書いた依存症関連の記事はこちらです。

 

kokorofu.com

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ギャンブル依存とは?

そもそもギャンブルとは?という話からになりますが、

日本では、競馬、競艇、競輪、オートレース、法的には遊戯にあたるパチンコ、パチスロ、非合法の闇カジノなどもそうです。

広くとらえて、宝くじ、株、FX、先物取引などの投資も含める場合があります。

 

ギャンブルをやめたくてもやめられず、日常生活に支障が出てくるようになると、ギャンブル依存の状態といえるでしょう。

特徴として、ギャンブルへの渇望、ギャンブルの衝動を抑えられない、ギャンブルの負けをギャンブルで取り戻そうとする(負け追い)、人間関係、仕事などに悪影響が出る、などがあります。

また、日本国内では、圧倒的にパチンコ、パチスロの割合が多い(8割くらい)のも、海外と比べたときの特徴の一つです。

 

正式な診断名

なお、正式な診断名は、ギャンブル依存症ではなく、「ギャンブル障害」(Gambling disorder)です。

DSM-5というアメリカ精神医学会がつくる精神科医の診断マニュアルで、そのように決まっています。

また、WHOがつくるICDという診断基準では、現行のICD-10だと「病的賭博」という名称ですが、2022年に出版されるICD-11ではやはり「ギャンブル障害」になることが決まっています。

 

日本ではギャンブル依存が多い、はホント??

厚生労働省が2013年に行った調査で、なんと約536万人(4.8%)もの人がギャンブル依存であるという報告がされ、メディアでセンセーショナルに取り上げられました。

 

しかし、その後の調査でこの数字は大幅に減ります。

2017年度の調査では3.6%(320万人)となり、200万人以上も減るという謎。

そもそもこの数字は、SOGSというスクリーニングテストにより導き出されたものであり、正式に診断を受けた人数ではありません。あくまでスクリーニングであり、ギャンブル依存の「疑い」がある人の数なのです。

さらには、「生涯のどこかでギャンブルの問題を抱えていた」人数なので、現在はギャンブル依存とはいえない人も含まれた数字です。

諸外国では、直近1年間の数字で議論されるのが一般的なのですが、同じ条件での数字を出してみると・・・

 

0.8%! 約70万人。

これは諸外国並の数字です。

 

最初の“536万人”というインパクトが強すぎて、日本はギャンブル依存が多いというイメージを持たれがち(最近まで私もそう思ってました…)だと思うですが、実態とはかけ離れた数字と見たほうがよさそうです。

数字を鵜呑みにしてはいけないという好例だと思います。

 

実は自然回復率が高い??

依存症というと、「治りにくい」「一生付き合っていくもの」というイメージもあるかと思います。

ですが、先ほどの数字を見直してみましょう。

2017年の調査によれば、約320万人が生涯のうちどこかでギャンブル依存(疑い)だったわけですが、直近1年に限ってみれば、約70万人なのです。

つまり、250万人がギャンブル依存(疑い)の状態から抜け出していることになります。

これは約8割にも及ぶ数字であり、かなりの回復率です。

 

しかも、ギャンブル依存(疑い)を抜け出した人たちの中で、どこかしらの相談機関を利用した人はかなり少数とのことです。

つまり、多くの人は、ギャンブル依存から自然回復していることになるのです。

正直、この数字を知ったとき、私は驚きました。

「依存症は、支援なくして回復が難しい病気」という思い込みがあったからです。(というか、そう教えられてきた)

 

もっともこれは、ギャンブル依存が軽いとか、放っておいていいとか言いたいわけでは決してありません。

ギャンブル依存(疑い)の方の中には、深刻な症状の方も含まれており、最悪の場合、精神的に追い詰められ自ら死を選んでしまう人もいます。

つまり、重症度を見極め、適切な支援、対策をしていく必要があるということです。

 

相談の現場で見るギャンブル依存者の像

依存症の相談機関で働いていたときの話ですが、ギャンブル依存の人は、アルコール依存、薬物依存といった物質依存の方と比べると、まだ社会生活がなんとか成り立っている方が多かったと感じます。

身体に有害な物質を取りこむわけではなく、あくまで精神的な依存なので、身体的な健康は保たれることが多いからでしょう。

問題となるのは、やはり経済的な面です。

〇百万というレベルで借金をつくり、奥さんにばれ離婚寸前になり、すがるような思いで相談に来た、という方もいました。

相談にくる途中、パチンコ店の横を通り、誘惑に負けそうになった、と話す方もいました。

 

私自身はギャンブルをした経験がほぼないので、正直なところギャンブルにハマる人の気持ちは、十分に理解できないところもあります。

ただ話をしてみると、真面目な方が多く、自分のギャンブル行動をどうにかしたいという切実さを感じました。

 

 

 社会資源について

自然回復が多いとは言え、支援が必要な人というのは確実に存在します。

回復のために役立つ資源にはどのようなものがあるかを紹介します。

 

①自助グループ(GA、ギャマノンなど)

 同じ依存に関する悩みを抱える人たちが集まるグループです。GA(ギャンブラーズ・アノニマス)は、ギャンブル依存の問題を抱える当事者が集まる場所、ギャマノンはその家族が集まる場所です。自助グループでは、参加者が順番に、自身の体験や近況、思いを自由に語る“ミーティング”が中心になります。ミーティングを通じ、自分の気持ちが整理されたり、悩みを抱えているのが自分だけではないのだと知り、安心感を得られやすいですし、一歩先行く先輩(課題を乗り越えつつある人)からアドバイスを受けることもできます。

 かつては、「依存症からの回復のためには必須!」とも言われてきた重要な資源です。ただ、集団や雰囲気になじめない人、合わない人がいることも間違いなく、そういう方に無理に参加を勧めるよりは、別の資源を活用すべきかと思います。

 

②専門医療機関

 全国的にも数は少ないですが、依存症治療専門の医療機関に相談するのも一つの方法です。回復プログラムなどを実施しているところもあります。ただ、ギャンブル依存(ひいては依存症全般)の場合、薬物治療が必ずしも有効ではないため、過度な期待は禁物かもしれません。

 

③行政相談窓口

 精神保健福祉センターや保健所などがこれにあたります。特に精神保健福祉センターでは、依存症相談に力を入れ始めているところが多く、認知行動療法をもとにした集団療法や家族教室などを行っているところも多いです。最初の相談窓口としてはよいと思います。(個人的に相談する敷居が低いのではないかと思います)

 

④回復支援施設

 地域で在宅のまま回復を目指すのが難しい方の場合、NPOなどが運営する回復支援施設を利用する場合があります。同じ悩みを抱える仲間との生活をとおして、自分の課題と向き合うことになります。施設で生活をしながらGAに通い、退所後もGAに通い続けるという人もいます。

 

⑤相談室、カウンセリングルーム

 医療機関と比べると、じっくり話を聴いてもらえるというメリットがあるのではないかと思います。定型的な回復プログラムではなく、相談者個々に応じたオーダーメイドの支援を行っている相談室もあります。保険適応ではないため、それなりの費用がかかることが難点でしょうか。

 

⑥パチンコ業界

 これは意外と思われるかもしれません(私自身、とても意外でした。本当にすみません・・・)が、パチンコ業界、特に大手のところは、依存症対策に力を入れているところは多いです。私が参加したことのあるギャンブル依存の勉強会で、最も参加者が多かったのがパチンコ業界の方々で、とても驚きました。

 「パチンコ依存症者をつくりだして儲けているのではないか」と思われがちですが、私が関係者の方に直接聞いてみたところ、パチンコ業界も世間のイメージが悪くなることは避けたいのだと話していました。イメージが悪くなることは、社員の働くモチベーションの低下にもなるからだそうです。長く適度に遊び続けてもらうことが理想だという話も聞きました。(病的なほどハマってしまうと、途中でドロップアウトしてしまう)

 例えば、パチンコホールで働く人は、明らかに度を越えたパチンコプレイヤーには、声掛けをするなどの工夫をしているそうです。

注:別にパチンコ業界の回し者ではないですよ(笑)

 

おわりに

いろいろな要素が絡んでいるテーマであり、私自身も勉強中なのですが、なるべく多くの視点から書いてみたつもりです。

少しでも参考になったとすれば幸いです。

 

 

 今回の内容は、以下の文献を参考にしています。

『よくわかるギャンブル障害』(著:蒲生裕司) 星和書店

『ギャンブル等依存問題 正しい理解のために』(編集:月間アミューズメントジャパン編集部)

 

 最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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シリーズ依存症④ ~薬物依存って何? 処方薬、市販薬への依存って?~

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こんにちは、公認心理師のこころふです。

依存問題や子育てのことなどいろいろと書いています。

 

今回は薬物依存について書きたいと思います。

薬物依存の理解に少しでも役に立てたら幸いです。 

 

薬物依存とは?

 

薬物依存は、薬物をやめたくてもやめられず、生活に支障が出てしまう状態です。

一口に薬物と言っても、その対象はさまざまです。

ヘロイン、コカイン、覚せい剤、大麻、危険ドラッグ、処方薬、市販薬…etc

 

薬物のもつ依存性+その人の抱えるメンタルの課題(孤独感、生きづらさ)により、やめられなくなると言われています。

しばしば、あたかも薬物の作用だけが原因であるかのように説明されることもありますが、それでは片手落ちです。同じモノを使っても、ハマるかどうかには個人差があります。

 

芸能人の違法薬物所持、使用などのニュースもよく取り上げられますね。

 

私自身、「なぜ順風満帆なあの人が薬なんて…」

と驚くこともしばしばですが、芸能界というのはそれだけプレッシャーの激しい業界だということなのでしょう。

昨今の芸能人の自死報道などを見てもそう感じます。

 

何度も薬物使用で逮捕されている田代まさしさん(マーシー)も、面白いギャグを期待されるのがすごいプレッシャーだったと話しています。

まぁ芸能人の場合、お金をもっているから誘われやすいというのもあるのでしょうが。

 

病的な依存症レベルになってしまった場合、自力でのコントロールは難しいので、反省すればやめられる、とか、強い意志でなんとかなるという問題ではありません。そういう病気なのです。

 

また、メディアがこぞってバッシングすることで、依存症からの回復が難しくなりますし、今なんとか病気と向き合い断薬している当事者にとっても再使用の引き金となりかねないので、報道の仕方については見直すべきと思います。

 

 

処方薬依存とは?

 

え?処方薬にも依存があるの?

と思った方もいるかもしれません。

 

実は、処方薬に依存している人は、世の中にたくさんいます。

それどころか、日本において、精神科などで処方される睡眠薬、抗不安薬は、いまや覚せい剤に次ぐ第二位の乱用薬物となっています。

覚醒剤依存患者と比べると、女性が多く、年齢が若く、学歴が高く、非行歴、犯罪歴を持つ人が少ないそうです。

いわゆるベンゾジアゼピン系と呼ばれる処方薬で、エチゾラム(商品名・デパス)を筆頭に精神科だけでなく、内科や整形外科などでもよく処方されています。

 

デパスはすぐに気持ちがほぐれる即効性があり、患者からも人気の高い抗不安薬で、医者も処方しやすいという面があります。

なかには、主治医にだまって過量服薬(オーバードーズ)してしまい、なくなると別の精神科を頼るというようなドクターショッピングを続ける人もいます。

 

しかも、処方されたとおりに服薬していたとしても、依存になるケースさえ少なくありません。「常用量依存」というそうです。

耐性の問題もあります。最初は少量ですんでいたものが、だんだん多く飲まないと効果を感じなくなってしまい、服用量が増えていってしまうという部分もあります。

厚労省も最近になり、デパスの投薬期間に規制をかけています。

 

 

市販薬への依存

 

風邪薬や鎮痛剤などの市販薬に依存する人も多いと言われています。

乱用者は薬物依存全体の5パーセントほどにあたります。大麻より多いらしい。

 

それこそラムネ菓子を食べるように、何十錠と飲んでしまう人もいるそうです。

なぜそんなことをするかというと、風邪薬や鎮痛剤のなかには、麻薬と同様の成分が含まれているものがあり、高揚感や多幸感が得られると言われているのです。

 

有名なのは、通称「金パブ」。

最初に聞いたとき私は、なんのこっちゃと思いましたが、風邪薬の「パブロンゴールド」のことなんですって。

他には、せきどめ薬のブロンも人気が高いそうです。

このような情報がネットでも出回っていて、若い層を中心に、カジュアルに手を出す人が増えています。「カジュアル飲み」なんて言葉もあるそうです。

 

このように、処方薬や市販薬への依存は大きな社会問題です。

違法薬物の乱用は規制により減りつつありますが、合法な薬物の乱用は逆に増えつつあります。

こうした薬が生きるための支えになっている人も多く、簡単にやめられるものではありません。

専門機関への相談が必要でしょう。

 

 

薬物依存からの回復のためには

 

アルコール依存の記事でも書きましたが、基本的には同じで、家族から相談につながることが多いです。

特に違法薬物を使っている場合、本人が相談にくることはより難しいことでしょう。

 

これは賛否があるとは思うのですが、依存症の専門病院や相談機関では、「相談者が違法薬物を使用していることが分かっても、通報しない」という流れがあるようです。

すべての機関がそうであるとは言い切れませんが、行政機関である精神保健福祉センターでさえ、ホームページで「通報しません」と明言しているところもあるくらいです。

 

理由は簡単で、そうしないと本人が相談に来てくれないからです。

 

相談の肝は、いかに本人が本音で喋ってくれるか、というところにあります。

自分の気持ちや体験を正直に話すということ自体が、回復への一歩になります。

「通報されるかも」という不安があれば、本音を出せるはずもありません。

 

さらに言うと、刑務所に入ることは薬物依存の回復に何ら役に立たないと言われています。「出所してわずか2時間で薬に手を出した」という話を聞いたことがあります。

厳罰化すべきとの声もありますが、“回復”という観点に立てば、無意味どころか逆効果ですらあります。失うものが多すぎて、再起への壁が高くなってしまうからです。

 

「犯罪は犯罪。罰を与える必要がある」という主張があることは分かりますし、それを否定はしません。

ただ、犯罪であると同時に病気でもあるわけなので、そこに「治療」という視点がなければ何の解決にもなりません。

 

相談できるところは、薬物依存専門の病院、精神保健福祉センター(都道府県に必ず一つはあります)、自助グループ、ダルクなど、さまざまあるので、自分に合ったところを探してもらえたらよいと思います。

 

 

おわりに

 

薬物依存について、その周辺事情もまじえながら説明してみました。

このテーマには切り口が多すぎて、とても一記事にはまとめられそうにないと気づきました。

また別の機会に捕捉する記事を書いてみたいと思います。

 

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

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シリーズ依存症③ ~アルコール依存という病気~

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こんにちは。

今日娘にパソコンを踏まれて壊されてしまったこころふです。

ただただ悲しい…。

 

気をとりなおして…今回はアルコール依存について書いてみます。(スマホで)

 

最近はアルコール依存症の認知度というか、理解が少し進んできた気もしますが、まだまだ「だらしない」「意志が弱い」というイメージはあると思います。

アルコール依存が疑われる芸能人の酒での失敗に対して、コメンテーターが「甘い」とか「意志が弱い」とか言ったりしてるのを耳にすると…。

そういう問題じゃないんですけどね。

 

アルコール依存の特徴

アルコール依存は、酒をやめたくてもやめられず、生活に支障が出てしまっている状態を指します。

よくある例としては、仕事のストレスから酒を飲み始め、最初はそれでうまくいっていたのが、次第に酔うために必要な飲酒量が増えていき(耐性)、二日酔いで仕事に支障が出始める。

昼間から飲んでしまうことも。

 

仕事は続けられなくなり、体はボロボロ、家では奥さんに見放され…と、たどる道は悲しいものです。

暴力、飲酒運転、酒を盗むなど、犯罪にまで手を染めてしまう方もいます。

 

身体的、精神的、社会的、経済的にと、あらゆる面でダメージを受ける病気と言ってよいでしょう。

 

はたから見たら、人生を棒にふるレベルで酒を飲むことの意味が分からないと思います。

やめたらいいのに、と。

私も最初はそう思っていました、いや、今でも心底理解できているわけではないと思います。でも、それがこの病気の怖いところなんですね。

 

松本俊彦先生の表現をかりれば、

アルコールに「脳をハイジャックされてしまっている」状態なのです。

 

診断基準に沿っていくと、まず渇望

とにかく酒への執着が半端ではない。

そして、コントロール障害。自分で飲酒をコントロールできない。

耐性。酔うための必要量が増えてしまう。

離脱症状。酒をやめようとすると、手が震えたり、異様に汗が出たり、非常に辛い状態。これがあるからやめにくい。

飲酒中心の生活。酒が一番大事なものになり、他のことがどうでもよくなってしまう。

有害な結果が起きているのにやめられない。

これら6つの特徴のうち、3つあてはまればアルコール依存症と診断可能です。

 

アルコールの依存性

アルコールは立派な(?)薬物です。

依存性はかなりのものです。

 

よく、「なんで大麻は違法なのにアルコールは合法なのか!?」「アルコールがいいのなら、大麻も合法にするべき!」という声を聞きます。

以前いっしょに働かせてもらった精神科の先生の話では、「たしかにアルコールのほうが危険。ただ、アルコールが危険すぎるというだけで、大麻だって安全なわけじゃないんだ」とのことでした。

うーん、そんなに危ないものを、私たちは日常的に飲んでるわけですから、怖い話です。

流通しすぎていて、規制をかけるのが困難なのでしょうね。

ただ、アルコールの薬理作用だけで依存症になるわけではなく、背景に別の精神疾患が隠れていたり、人生の生きづらさ、不安、孤独感が関係していることが多いので、そのあたりは見逃してはいけません。

 

相談にくるのは誰?

以前依存症の相談にも関わっていましたが、多くの場合、相談にくるのは本人ではなく家族です。

アルコールに関しては、依存を抱える当事者の奥さんが来ることが特に多いです。

 

これは、依存症がいかに周りを巻き込み困らせる病気であるかを表しているのだと思います。

本人も困っているはずなのですが、やはり自ら相談機関に足を運ぶ勇気はなかなかもてないものです。だから本人からの相談は少ないのです。

 

家族への支援

なので、まずは家族支援となります。

最初に家族の話を聴き、これまでの苦労をねぎらいます。

そのうえで、本人への関わりのコツをアドバイスしたり、自助グループや家族教室を紹介したりすることが多いです。

 

例えば、家族は本人を責めたり、叱ったり、説教してはいけません。

家族はこれまでさんざん迷惑をかけられてきて、辛い思いをしてきた。なのに、本人をかばうのか、と言われてしまうかもしれません。その気持ちはよくわかります。

ただ、本人を責めるだけでうまくいくはずはなく、むしろ関係を悪化させるだけです。

それよりも、冷静に接すること、本人のできていることは認めてあげること、アイメッセージ(主語を「私」にして気持ちを伝えること)を使うことなどを意識することで、少しずつ関係性を改善していくことを目指します。

 

 

本人が来るようになればgood!

家族教室への参加などをとおして、家族のメンタルが安定してくると、不思議と当事者本人のメンタルも落ち着いてきます。途中から本人もいっしょに相談にきてくれるようになることもあります。

 

本人が来てくれたときには、「よく来てくださいましたね!」と、ちょっと大げさくらいにねぎらってあげることが大事です。 

実際、本人が本当にくるかどうかって、支援者側からすると相談直前までけっこう不安なんですよ。だから、「来てくれてうれしい」というのは、偽らざる本当の気持ちだったりします。

 

こうして、本人も定期的に相談に来るようになれば、大きな進展だと考えてよいでしょう。

もちろん、回復は始まったばかりであり、本当によくなるには長い時間が必要です。

 

 

おわりに

まだまだ全然書き足りない気もしますが、長くなったのでとりあえず以上にさせていただきます。

 

アルコールは、コンビニでも手に入るほど、身近なものでありながら、過度にハマるととても恐ろしいものです。

私たちはそうした認識を忘れるべきではないでしょう。

また、さまざまな事情から、アルコール依存になってしまった方を、第3者が安易に責めてはいけません。その権利があるとすれば、実害を被った家族か、あるいは本人だけです。(責めてよいことはないですが)

 

この病気と向き合うことはとても大変なことです。責めるのではなく、理解をしてあげましょう。

依存症と向き合う人たちには、とても人間的に魅力的な方が多いですよ(^^) 

 

以上になります。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

(スマホで書くのやっぱり大変…)

 

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シリーズ依存症② ~そもそも依存症って何? どんな依存があるの?~

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こんにちは。

公認心理師のこころふです。 

 

依存症シリーズ2回目ということで、今回は「そもそも依存症って何?」「どんな依存があるの?」というテーマで書きたいと思います。 

むしろこちらが先の方がよかったかもですね。

 

依存症とは? 

 

「依存症」についてとても簡単に言うなら、 

「ある物事をやめたくてもやめられず、日常生活に支障が出てしまう状態」のことです。 

 

いくつか例を出します。 

 

お酒を毎晩たくさん飲み、二日酔いで仕事に行けないこともしばしば。やめなきゃいけないと頭では分かっているのにやめられない。

→アルコール依存 

 

一度だけのつもりで手を出した「覚せい剤」。いつも「これで最後にしよう」と思うのに、ついついまた買ってしまう。最終的には覚せい剤使用がバレて、逮捕されてしまう。 

→薬物(覚せい剤)依存 

 

気分転換のつもりで始めたパチンコ。気がつけば毎日通ってしまい、負け続け、いつしか借金までつくってしまい、「もうやめたい」と思うのにやめられない。 

→ギャンブル(パチンコ)依存 

 

いずれも、「やめたいのにやめられない」かつ「生活に支障が出てしまっている」状態です。こういう状態であれば、依存症といってよいでしょう。 

 

 

どんな依存症があるの? 

 

例でも挙げたように、依存の対象となるものはさまざまです。 

なかでもよく取り上げられるのが、アルコール依存、薬物依存、ギャンブル依存の3つで、これらはエビデンス(科学的根拠)がしっかりしている概念だと言われています。 

 

最近では、WHOがつくるICD-11(国際疾病分類)において、「Gaming  disorder」(一般的に「ゲーム障害」「ゲーム症」などと訳される)が掲載されることが決定したため、ゲームへの依存が話題になることも増えてきました。 

 

この他にも、買い物依存、ネット依存、摂食障害、窃盗症(クレプトマニア)などなど、(専門家によって意見は分かれるものの)依存症の一種として捉えられる症状はけっこう存在します。 

いずれも「やめたいのにやめられない」という特徴が共通しています。 

 

 

物質依存と行動嗜癖 

 

このようにさまざまな種類のある依存症ですが、大きく2つに分類することができます。 

それが、「物質依存」「行動嗜癖(行為依存、プロセス依存)」です。 

要は、依存する対象が「モノであるか、行動であるか」という違いです。 

 

ちなみに「嗜癖」というのは、何かにハマっているといった意味で、英語では「addiction」。 

宇多田ヒカルのヒットソング「Addicted To You」は「キミに夢中」といったような意味になります。 

 

物質依存は、アルコール、大麻、シンナー、覚せい剤、ニコチン、処方薬、市販薬などへの依存が挙げられます。 

「え?処方薬や市販薬の依存症があるの?」と思われた方もいるかもしれませんが、実は処方薬依存、市販薬依存の人はとても多いと言われており、深刻な問題です。(詳しくはどこかで書きたいと思います) 

 

行動嗜癖の対象となるのは、ギャンブル、ゲーム、買い物、ネット、窃盗、セックス、リストカットなどの行動が挙げられます。 

専門家によって、どこまでを依存または嗜癖と認めるかは、意見が分かれることもあります。 

 

また、物質依存、行動嗜癖(行為依存)のほかに、「関係依存」も含めた3つのカテゴリに分けられることも多いです。 

「関係依存」には、恋愛やDVなどへの依存、ストーカーなどが含まれることもあります。 

 

「依存症」といっても、実に多種多様だということがお分かりいただけたかと思います。 

 

 

クロスアディクションという概念 

 

2つ以上の依存対象をもつ人も多くいます。 

これを「クロスアディクション」と言います。 

 

例えば、アルコールへの依存を抱えながらギャンブルにもハマっていたりとか、処方薬に依存しながらリストカットもあるなど、実にさまざまです。 

 

また、しばしば依存対象が変化することもあります。 

最初は酒にハマっていたけど、次第に大麻や覚せい剤などの違法薬物にハマり、最終的には風邪薬(市販薬)への依存(規定量を超えて飲んでしまう)に落ち着く、というようなケースもあるようです。 

 

前回の「人はなぜ依存症になるのか?」でも書きましたが、何かに過度に依存してしまう背景には、孤独感や生きづらさがあり、精神疾患を抱えている人も少なくありません。 

 

そのような“辛さ”を紛らわすために何かに依存してしまう、というメカニズムは共通しているのです。 

 

なので、例えばアルコール依存の人から、仮に完全に酒類を取り上げることができたとします。そうすればたしかにアルコールを摂取することはなくなるでしょうが、根本的な辛さはなくなっていません。そうすると、アルコール以外のものに依存対象が移り、別の依存症になってしまう、ということがあり得るのです。 

 

つまり、単に依存対象をその人から取り上げる、といった対応では、根本的な解決にならないのです。

 

もちろん個々によって事情はさまざまであり、辛さの種類によって、依存対象の選び方も変わってくるのではないか、という意見もあります。 

また、依存対象によって、どのような支援をするかという方針が異なってくる場合もあります。 

例えば、同じ物質依存でも、合法なもの(アルコールや処方薬など)と違法なもの(覚せい剤や大麻など)があります。

 

行動嗜癖にしても、ゲームはもちろん合法ですが、窃盗などの違法となる行為もあります。 

 

合法か違法かによって、支援のアプローチが変わることもありますし、あとは、当たり前かもしれませんが、違法であると知りながら相談にくるという人はなかなかいません。 

結果的に、支援を受けるチャンスを逃してしまうことにもなってしまうので、難しい問題だと思います。 

 

 

おわりに

 

今回は、依存症という病気がどのようなものか、また依存対象にはどのようなものがあるのかをざっと取り上げてみました。 

次回からは、それぞれの依存対象ごとに、その特徴をより具体的に書いてみたいと思います。 

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございました! 

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シリーズ依存症① ~人はなぜ依存症になるのか? 回復のために必要なのは?~

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こんにちは。 

2児の父であり、現在育休中のこころふです。 

 

これまで子育ての話が中心でしたが、そろそろ別のテーマをと思い、 今回は「依存症」に関する記事を書くことにしました。 

 

なぜかというと、私自身が以前、依存症支援に携わっていたからです 

 

その中で、依存問題の奥深さ、支援するやりがい、そして当事者さんたちとの交流に、いろいろな面で心を動かされてきました。なので、思い入れがあるテーマです 

 

今でこそ、依存症支援にガッツリ関わるということはありませんが、いつかはまた関わらせてもらいたいという気持ちもあります。 

 

まぁこのへんは個人的な話なので、さっさと本題に入りましょう。 

 

 

ご興味のある方はぜひお読みください! 

 

 

人はなぜ依存症になるのか? 

 

この見出しは、エドワード・カンツィアンという精神科医が著した本のタイトルです。 

翻訳しているのは、国内で薬物依存研究の最前線におられる精神科医の松本俊彦先生です。国立精神神経医療研究センター所属されています 

松本先生の講演じかに聞いたことがありますが、軽妙なトークとときに見せる熱弁にとても引き込まれ、感銘を受けました。 

 

 

さて、人はなぜ依存症になるのでしょう? 

 

よく説明されるのが、覚せい剤や大麻、アルコールなどの物質依存でいえば、繰り返し摂取することで、その物質の薬理作用により、脳が薬物を摂取することが当たり前の状態だと錯覚してしまい、やめられなくなる、というものがあります。 

ドーパミンという快感物質が脳内に多く分泌され、快感を覚えることで、やめられなくなるとも言われます。 

 

これらの説明は、もっともらしく聞こえますし、間違っているとまでは言えないのですが、これだけで依存症のメカニズムを説明できているわけでもありません。 

 

なぜなら、ヘロインコカイン、覚せい剤、大麻などの物質を摂取したとしても、それで依存症になる人と、そうでない人がいるからです。 

例えば、覚せい剤を一度でも使ったことのある人のうち、将来依存症になる人の割合は15%ほどだそうです。 

 

「え?たったの15パーセント?」「残りの85%は依存しないの?」 

と意外に思ったのは、私だけではないでしょう。 

 

違法薬物に手を出したとしても、深刻な依存症にまで陥る人は、どちらかというと少数派なのです。 

依存症になる人ならない人、違いはどこにあるのでしょうか? 

 

 

自己治療仮説 

 

ここで出てくるのが、カンツィアンの「自己治療仮説」です。 

 

簡単に言うと、薬物などの物質を摂取するのは、自身の生きづらさ、孤独感といった辛い気持ちを和らげる(つまり自己治療する)ためなのではないか、という考え方です。 

 

深刻な依存症に陥ってしまう人の多くは薬物ハマる前から別の精神疾患をもっていたり、強い孤独や生きづらさを感じている場合が多いのです。 

 

この自己治療仮説ですが、移り変わりの早い精神医学の理論のなかにあって、カンツィアンが提唱した1980年代半ば以降、今でも役に立つ仮説として生きています。 

 

一般的に薬物を使った人がやめられなくなってしまうのは、使ったときの快感が脳を刺激し、またその快感を求めるために使うから、と考えられがちだと思います。 

 

つまり、 

快感がない → 薬物を使う → 快感がある 

というプロセスがあるわけです。 

行動の結果、なかったもの(この場合は快感)が表われ、行動が増える(強化される)といった現象。 

これを行動分析学的には、「正の強化」といいます。 

 

確かにそれは一つの要因ではあるのですが、それだけでは、同じ薬物を使用しても続かない、依存しない人たちがいることを説明できません。 

 

もっと重要なことは、「負の強化」といわれる現象です。 

つまり、 

つらい気持ちがある → 薬物を使う → つらい気持ちがない 

という、行動の結果あったもの(この場合はつらい気持ち)がなくなり、その行動が増える(強化される)というプロセスです。 

 

実は、この「負の強化」こそが、依存症の主要なメカニズムなのではないかと言われているのです。 

 

 

大事なのは「人とのつながり」 

 

これまでの内容を聞くと、いわゆる依存症者のイメージが変わってきます。 

一般的にはまだ、「依存症なんて意志が弱いからなるんだ」「だらしがないからだ」と言う人も多いと思います。 

 

しかし実態は、精神疾患や強い孤独感、生きづらさにより、「生きていくために薬物に頼らざるを得ない」という人が多いのです。 

このような人たちを、「意志が弱いからだ」「罰が甘いからだ。もっと厳罰化するべきだ」などと批判したとしましょう。すると精神的、社会的に追い詰められ、より多くの薬物に依存せざるを得なくなる可能性があります。 

 

ではどうしたらよいのでしょうか? 

 

依存症から回復するために必要なことは、厳罰化などの強硬策ではなく、「人とのつながり」です。 

孤独感や生きづらさを和らげてくれる、人とのつながりなのです。 

 

変な言い方に聞こえるかもしれませんが依存症を抱える人の特徴は、「人に上手に依存できない」ことだと言われます。 

苦しい辛いときに「辛い」と言えずに我慢してしまう。 

それゆえ覚せい剤などの物質に依存してしまうのです 

 

人に依存することは悪いことではありません。 

誰でも誰かに支えられながら生きています。 

 

支えてくれる人は、家族だったり、恋人や友人だったり、相談機関の支援者や自助グループの仲間だったりと、いろいろなケースが考えられます。 

家族や恋人など身近な人だけで当事者を支えるのは、感情的に巻き込まれやすく、「共依存」というずぶずぶの関係に陥りやすいと言われているので、できれば相談機関の支援者や、自助グループの人など、第三者にも協力・支援してもらう方がよいでしょう。 

 

日本では、まだまだ「薬物使用=犯罪」というイメージだけが強く、治療・支援が必要な「病気」(厳密には、薬物使用障害という「障害」)という認識は薄いと思います。 

 

今後、薬物依存者が、人とのつながりを取り戻しやすい社会になることを切に願っています。 

 

 

今回は以上になります。 

最後まで読んでいただき、ありがとうございました! 

 

*参考文献 

『人はなぜ依存症になるのか 自己治療としてのアディクション』(著:エドワード・カンツィアン、マーク・J・アルバニーズ 訳:松本俊彦) 

 

『薬物依存症』(著:松本俊彦)

 

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おすすめの知育玩具|わが家で子どもがハマったおもちゃ、絵本、DVDの紹介

こんにちは。 

2児の父であり、長期育休中のこころふです。 

 

突然ですが、子どもにどんなおもちゃを買ってあげるか考えるとき、ワクワクしませんか? 

「これ買ってあげたらどんなふうに遊ぶんだろうな~?」って想像をめぐらせるのって楽しいですよね。 

 

で、親とすると、おもちゃで楽しんで遊んでくれたらそれで十分嬉しいんですが、できればおもちゃを通じて何かを学んだり身につけたりしてくれたらいいな~なんて、欲が出たりもします。 

 

実際、世の中にはさまざまな「知育玩具」なるものがありますよね。 

どこからが知育で、どこからがそうでないのかはわかりませんが、たしかに「学べそうだな」と感じるおもちゃはたくさんあります。 

 

今回は、わが家でヒットした知育玩具(DVDや絵本も含む)を紹介します。 

 

 

日本地図パズル 

 

見出しどおり、最近で一番のヒットは「日本地図パズル」です。 

わが家が買ったのは、『デビカ 木製知育パズル日本地図』というものです。 

https://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=&cad=rja&uact=8&ved=2ahUKEwjcxNC35c_sAhVSIIgKHTKxCwoQFjAAegQIARAC&url=https%3A%2F%2Fdebika.co.jp%2Fproducts%2Fdetail.php%3Fproduct_id%3D184&usg=AOvVaw3TCGnY0cFfgLPG-RU34GeO

木製でピースやボードの手触りがよく、ピースはしっかりめにはまるので、いい感じです。 

 

3歳の長女用に買ってあげたのですが、さすがに難しいだろうなぁと思っていました。案の定、最初は全然はめることができず、すぐに飽きてしまうかなと心配もしました。 

 

しかし、子どもの学習能力というのはすごいですね。 

1週間くらいでコツをつかみ、2週間をすぎる頃には一人で全てはめこむことができるようになっていました。 

今では、裏返しにしたピース(何も書かれていない)を見て、形だけで「兵庫県」などと都道府県名を言い当てられるようになってしまいました。

 

私自身は昔から地理が苦手で、都道府県の正確な位置もよく分かっていない人間なのですが、まさか数週間で娘に追い抜かれてしまうとは思いませんでした( ;∀;) 

 

おまけに言うと、まだ1歳の次女までも好んでパズルをいじるようになり、東北地方(ピースが大きいので分かりやすい)あたりであれば、それなりに正しい位置にピースをおけるようになってきているのです! 

これには驚きました。 

 

難点を挙げるなら、ピースが小さめなのでなくなりやすいことです。 

すでにわが家の日本地図からは山梨県が消えております…。 

おかたづけの能力も高くなってくれるといいのですが…。 

 

いやしかし、地図パズルの効果はてきめんですね。 

いっしょにやるうちに、私自身も前よりだいぶ都道府県に詳しくなりました(笑) 

 

そのうち、世界地図パズルも遊ばせてあげたいと思っています。 

 

 

Little Baby Bum DVD  37 kids Favorite Songs 

 

https://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=&cad=rja&uact=8&ved=2ahUKEwjM3Kb35c_sAhWE-2EKHZc0B6sQFjADegQIBBAC&url=https%3A%2F%2Fwww.amazon.co.jp%2FLittle-Baby-Kids%25E2%2580%2599-Favorite-Songs%2Fdp%2FB01LX3I0TE&usg=AOvVaw3Bj-ntkzK__Oxsg8VwL6oh

これは、英語歌が37曲入ったDVDです。 

キラキラ星やABCの歌などのなじみのある歌や、日本だとあまり聞いたことのないような曲まで、幅広く収録されています。 

 

アニメーションもかわいいキャラクターがたくさん出てきて、当時(長女2歳のころ)しばらくは子どもが食いつくようにして見ていました。 

 

歌の力はすごいなと感じるのは、曲が流れると子どもも自然と口ずさめるようになるんですよね。 

このDVDに限らず、英語の歌を聴かせる機会はけっこうあるのですが、1歳の次女も最近口ずさむようになってきました。 

やはり、英語に触れさせるならまずは歌からがいいんだな、と思いました。 

 

 

こぶたくんのめいそう 

 

これは少し番外編的な位置づけになるかもしれません。 

 

『こぶたくんのめいそう』という絵本です。 

https://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=&cad=rja&uact=8&ved=2ahUKEwikg4CZ5s_sAhVNfd4KHSjpAtIQFjAAegQIBBAC&url=https%3A%2F%2Fwww.amazon.co.jp%2F%25E3%2581%2593%25E3%2581%25B6%25E3%2581%259F%25E3%2581%258F%25E3%2582%2593%25E3%2581%25AE%25E3%2582%2581%25E3%2581%2584%25E3%2581%259D%25E3%2581%2586-%25E3%2582%25B1%25E3%2583%25AA%25E3%2583%25BC%25E3%2583%25BB%25E3%2583%25AA%25E3%2583%25BC%25E3%2583%25BB%25E3%2583%259E%25E3%2582%25AF%25E3%2583%25AA%25E3%2583%25BC%25E3%2583%25B3%2Fdp%2F4863060483&usg=AOvVaw32-KOTXXT5n3lmpVVJ-C8C

著者はケリー・リー・マクリーンさん。14歳のころから日常的に瞑想をしており、20年以上も瞑想インストラクターとして働いているという人です。 

翻訳は、あの日野原重明さんが担当しています。 

 

国内初のこども向けの瞑想ガイド絵本、だそうです。 

 

なぜ、この絵本を購入したかというと、私自身が最近瞑想(主にマインドフルネス瞑想)をするようになり、子どもにもさせたいなと思ったからです。 

 

さすがに3歳の子に瞑想は難しいだろうとは思っていて、ダメ元で何度か読み聞かせただけなのですが、意外や意外、その後ときどき娘の方から「とうちゃん、めいそうしよ~」なんて言ってくるんですよ! 

まあ、実際いっしょにやってみると、すぐに飽きてやめちゃうんですけどね(笑) 

それでも嬉しい。 

 

娘が十分に理解できているとも思いませんが、興味を持ってもらうことには成功したようなので、それだけのパワーをもっている絵本なのだと思います。 

 

というわけで、お子さんに瞑想を勧めたいという人には、おすすめできる絵本です。(あまりいないとは思いますが…) 

大人でも勉強になりますよ。 

 

ただ問題は、どうやら絶版らしく入手しづらいことです。 

もし、運よく見つけたらぜひ読んでみてください。 

 

 

おわりに 

 

子どもには個性があるので、これなら絶対に効果がある、これなら必ずハマるというものはありません。 

だからこそ、自分の子どもに合ったおもちゃや絵本を選ぶ楽しみが生まれるのだと思いますし。 

 

なので、ここで知育玩具を紹介することに意味があったのかというとわかりませんが、もし少しでも参考になったとしたら幸いです。 

 

子どものやる気を伸ばすほめ方|能力ではなく努力をほめよう!

 

こんばんは 

2児の父であり、長期育休中の公認心理師こころふです。 

 

今興味があることは、「子育てにどう心理学を活かすかということでこのブログでもそういった内容の記事をよく書いています。 

 

 

子どもをほめるということ 

 

さて、子育てでよく出てくる話題の一つとして、「子どもをほめる」というのがありますよね。 

誰でも一度はその手の話題を聞いたことがあると思います。 

 

「子どもはほめて育てるべし」「〇〇なほめ方がいい」「ほめて子どもの自己肯定感を高めましょう」などなど。 

 

例外として、最近流行りのアドラー心理学では「ほめてはいけない」と言われているようですが、大方の意見としては「ほめる子育て」は推奨されていると思います。 

 

かくいう私も、ほめることはとても大事だと考えている人間のひとりです。 

さまざまな場面で、「ほめる」ことは子どもの感情や行動に変化を与えうるからです。

 

例えば、よくある親御さんの悩みのひとつに、「どうやったら子どもが勉強をするようになるのか?」というもがあります。 

ここでも、子どもを上手にほめることで、勉強への取り組みが積極的になる可能性が十分にあります。 

 

 

能力をほめるのか、努力をほめるのか 

 

子どもの勉強への意欲や成績を伸ばすために、親はどのように子どもをほめたらいいのでしょうか? 

 

結論から言うと、能力ではなく、努力をほめることがよいとされています。 

 

一時期、経済学者の中室牧子さんが著した『「学力」の経済学』という本が話題になりましたが、その中にわかりやすく書かれているので、紹介します。 

 

コロンビア大学のミューラー教授らは、ある公立小学校の生徒を対象にして「ほめ方」に関する実験を行いました。 

その結果、「子どものもとともの能力(頭のよさ)をほめると、子どもたちは意欲を失い、成績が低下する」ということが分かったのです。 

 

逆に、「あたなはよく頑張ったわね」と、努力をほめられた子どもたちは成績を伸ばしたのです。 

 

「今日は1時間も勉強したんだね」などと、具体的な行動をほめることで、子どもの努力が引き出され、難しいことにも挑戦しようとする子どもに育つ、というのがこの研究から得られた知見なのです。 

 

 

挑戦できる子どもに育てよう! 

 

うちの娘は、慎重な性格ゆえ、「失敗しそうだな」と感じるとチャレンジしない傾向があります。 

なので、娘が少しでも新しいことにチャレンジできたときには、うまくいったかどうかにかかわらず、「がんばったね~!」などと積極的に声をかけています。 

 

まぁついつい「頭いいね~!」とかも言っちゃうんですけどね。親バカで(笑) 

 

失敗をおそれない子に育ってほしいと思っているので、これからも娘の“がんばった姿”をほめるよう心がけていきたいです。 

 

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

リトミックって何?効果はあるの? 

こんばんは。 

2児の父であり、長期育休中の主夫こころふです。 

 

 

突然ですが、みなさん「リトミック」は知っていますか? 

おそらく多くの方が、幼稚園・保育園、小学校の音楽の授業などで経験したことがあるのではないかと思います。ピアノの音楽などに合わせながら、体を動かすあの活動です。 

 

私も小学生のころ、音楽でリトミックを体験した記憶があり、個人的には楽しく好きな時間でした。 

 

ただ、あらためて「リトミックって何?」と聞かれると、それこそ 

「音楽に合わせて体を動かすあれだよ」ぐらいにしか答えられません。 

多くの方がそうなのではないでしょうか? 

 

 

わが家では、以前から子どもを地域のリトミック通わせています。 

 

もともと妻が通わせていたのを、私が育休をとったことで、今は私がその役目を引き継ぐ形になったのですが、正直なところ、“妻に頼まれたから”という理由だけで漫然と通わせていたにすぎませんでした(;^ω^) 

 

今回、さすがにそれもどうかと思い、「そもそもリトミックって何?」「本当に効果あるの?」といった疑問について自分なりに調べてみたので、書かせていただきます。 

 

なお、この分野は私の仕事(心理系)と無関係ではないものの、

私自身は専門とはほど遠いところにいる人間なので、そういう人間が興味をもって調べたものだと思って読んでいただけると幸いですm(__)m 

 

 

そもそもリトミックって何? 

 

リトミック教育は、スイスの音楽教育家エミール・ジャック・ダルクローズが考案した音楽教育です。 

リトミック研究センターによれば、 

「楽しく音楽と触れ合いながら、基本的な音楽能力を伸ばすとともに、身体的、感覚的、知的にも、これから受けるあらゆる教育を十分に吸収し、それらを足がかりに大きく育つために、子どもたちが個々に持っている「潜在的な基礎能力」の発達を促す教育」 

と紹介されています。 

 

また、リトミック教育には3つの柱があるとのことです。 

 

①リズム運動 

 音楽に合わせて動いたり、感じたことを表現すること。 

②ソルフェージュ 

 リズム運動に合わせながら、音程を確認したり、歌ったりすること。 

③即興 

 リズム運動・ソルフェージュをもとに、楽器を使うなどして即興的に演奏すること。 

だそうです。 

 

まとめると、 

「音楽を楽しみながら、体を動かしたり歌ったりと自己表現することで、子どもの潜在能力を促すことを目的とした教育」と言えそうです。 

 

 

ダンスとの違い 

 

リトミックとダンスは、どちらも音楽に合わせて身体を動かすという点で似ています。 

ただ、ダンスは、見られることを意識するということ、音楽と動きを一致させることが重要視されます。 

それに対してリトミックは、自分で感じたことや考えたことを自由に表現することに重きがおかれており、動き手は必ず音を聴いてから身体反応をするので、音楽と動きが常にずれて見えることになるとのことです。 

 

 

リトミックの効果にエビデンスはあるの? 

 

今回これが特に気になったところです。 

「効果に科学的な根拠(エビデンス)があるの?」ということです。 

 

 

私もリトミックに意味がないと思っているわけではないのだけれど、 

しっかりとした根拠があるのであれば、娘を通わせるモチベーションにつながると思ったのです。 

 

で、調べてみた結果、 

結論から言うと、それほどはっきりしたものは得られませんでした(;^ω^) 

限られた時間しかないということと、私のリサーチ能力の乏しさに原因があることは否定しません!(効率的な論文の調べ方をご存知の方がいたら、コツを教えてください( ;∀;)) 

 

ただ、実証的な研究もあるにはあったので、紹介したいと思います。 

「保育園児への短期リトミックの効果」という研究論文です。 

1996年とかなり前に発表された論文であるということと、対象人数が少ないという部分は気になりますが、私が探した中では、数少ない実証的研究です。 

 

読んでみると、まず出てくるのがリトミック研究の限界についての記述。 

①長期間実施されるためリトミックの効果と加齢に伴う発達を区別できない 

②園内の活動である限り統制群を設けることが難しい 

とのことです。 

 

①は、リトミックの効果なのか発達が進んだことによる影響なのかわからない、ということですね。なるほどと思いました。 

②の統制群というのは、実験群(リトミックをさせるグループ)と比較するための、リトミックをさせないグループのことです。 

実証的な研究が少ないのも、これらの事情が関係しているのでしょう。 

 

さて、本研究の概要は以下のとおりです。 

・ある保育園の園児19名を対象とし、実験群と統制群に分けた。 

・全員に音楽テストを実施し、その後実験群には7セッションのリトミックを受けてもらう。 

・全員に2回目の音楽テストを実施したのち、今度は実験群と統制群を入れ替えたうえで、7セッションのリトミックを受けてもらう。(つまり前半はAグループに、後半はBグループに受けてもらったということ) 

・最後に全員に3回目の音楽テストを受けてもらう。 

・1回目と2回目のテストの間に意味のある差は認められなかった。 

・2回目と3回目のテスト結果を比較すると、実験群(リトミックを受けたグループ)のみ、音の「高低」の弁別に有意差傾向(統計的に明確な差があるとまでは言いきれないが、その傾向はみられたということ)が認められた。 

・1回目と2回目の間で差が出なかったのは、欠席者が多かったからではないかと筆者は考察している。 

 

ちなみに音楽テストは、聞き取りの課題であり、 

「強調」「リズム」「高低」「音色」「和音」「鑑賞」といった項目の理解度を測定するものでした。 

その中で有意差傾向が認められたのは「高低」の弁別のみだったということなので、トータルで見てはっきりした効果が認められたとは言い難いかなと思います。 

 

ただ、わが子のリトミックの様子を見ていると、音の「高低」に合わせて動きを変える活動(バチを2本持ち、高い音がなったら頭の上で叩く、低い音がなったら下で叩く)は、たしかに進歩していると感じてはいるので、リトミックの効果と言えるのかもしれません。 

 

 

おわりに 

 

すみません。 

ここまで書いてみてなんですが、本当に効果があるのかどうか、個人的にははっきり言ってよくわかりませんでした(笑) 

もっとよく調べればわかるのかもしれませんが、労力と時間をさくのに限界を感じました…。 

少なくとも、効果が数値で表しにくい活動ではあるようです。 

 

ただ、遊びや音楽が子どもの発達によいということを否定するつもりもないですし、親子で楽しんで取り組めるのであれば、それだけで意義があるかなとは思います。 

 

なので、私はこれからも娘といっしょにリトミックを楽しんでいきたいと思います! 

 

今回調べてみたことで、多少モチベーションも上がりました(笑) 

リトミックを受けただけで済まさず、なるべく家でも取り入れてみたいです。 

 

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございました! 

 

 

ちなみに、おかげさまでブログ開始後計100アクセスを達成していました。 

(達成時点で開始後17日、19記事) 

まだまだ全然ですが、とりあえずうれしいです!ありがとうございます! 

 

よろしければ、今後とも応援よろしくお願いします(#^^#)

HSP/HSCが流行することのメリット・デメリット

 

こんばんは。 

2児の父であり、長期育休中のこころふです。 

 

10数年いわゆる心理職として働いてきた経験から、子育てに心理学をどの程度活かせるか、試行錯誤する日々を送っています。 

 

さて、最近世間でよく聞くようになったHSPという言葉あります。 

数年前からときどき耳にし、そういう言葉があるというのは知っていたのですが、 

ちゃんと勉強したことはありませんでした。 

 

ただ、芸能人(ロンブーの田村淳さん)のカミングアウトなどから、一般的にも知られるようになってきているのを知り、調べてみようと思いました。 

 

今回は、HSP(HSC)について私なりに思うことを書かせていただきます。

※『HSCの子育てハッピーアドバイス』(著:明橋大二)を参考にしました。

 

HSP(HSC)とは? 

 

まず定義から説明します。 

HSPは、Highly Sensitive Personの略であり、「とても繊細な人」という意味です。 

アメリカの心理学者エレイン・アーロン氏が提唱したものであり、精神医学上の概念ではありません。病気や障害ではなく、あくまで一種の気質として捉えられています。 

5人に1人くらいの人がこれに当てはまると言われています。 

 

HSPの特徴を表す言葉として、「DOES(ダズ)」があります。 

 

Depth of processing・・・深く考える 

Overstimulation・・・過剰に刺激を受けやすい 

Empathy and emotional responsiveness・・・共感力が高く、感情の反応が強い 

Sensitivity to subtleties・・・ささいな刺激を察知する 

 

という4つの特徴頭文字をとったものです 

 

例えば騒がしい音に敏感で気分がわるくなってしまったり怒られている他人を見て自分が怒られたような気分になり落ち込んでしまったりといった、日常生活での困り感や、生きづらさを感じやすい傾向があります。 

 

反面感受性が豊かであり人に細やかな気配りができたり芸術方面才能を発揮したりと、よい方向に気質を活かしている人も多くいます。 

 

ちなみに上記のような特徴を持つ子どものことを、HSPと区別して、 

HSC(Highly Sensitive Child)と言います。 

 

 

自分にも当てはまるのでは? 

 

この概念を知って最初に思ったことは、 

「これって自分にも当てはまるんじゃね?」ということでした。 

 

今回試しにチェックリストで確認してみました。 

チェックリストは、「自分を取り巻く環境の微妙な変化によく気づくほうだ」「他人の気分に左右される」などの22項目からなり、12個以上あてはまれば、HSPの可能性が高いというものでした。 

 

私の場合、大体12個くらい当てはまりました。HSPど真ん中とは言えないまでも、HSPに限りなく近い状態だと言えるかもしれません。 

昔から親に「敏感な子」と言われていたし、自分でもそう思ってきたので、特に驚きはありません。 

 

それから、実は長女もけっこうな「敏感っ子」であります。 

 

例えば、Eテレの子ども番組のあるクイズコーナーを見ていたときのことです。クイズコーナーって、よく「ピンポーン」とか「ブー」って音がしますよね。その「ブー」という音が苦手だったらしく、その音が聞こえそうになると毎回テレビの前から逃げてしまうのです。 

これ以外にも、何てことないテレビ上の演出を極端に怖がって逃げてしまうということはありました。 

 

長女についても、子ども用のチェックリストを試してみると、案の定私と似たような結果で、HSCの可能性があるのかもなあと思いました。

立派に私の遺伝子をついでいますね(笑) 

 

 

HSP(HSC)概念は誰にとって役立つのか? 

 

HSP(HSC)という概念の意味するところは分かりました。 

では、この概念を理解することのメリットは何でしょうか? 

 

上記したように、HSPの方は世の中で生きていくのに、生きにくさを感じてしまう場合も多いと思います。 

「何で自分は人と違うんだろう?」「何かおかしいんじゃないか?」 

そんなふうに感じる方もいらっしゃると思います。 

 

そういった方が、このHSPという言葉を知り、自分にあてはまるということが分かったとします。 

「世の中には、自分以外にも同じような特性を抱えた人がたくさんいるんだ」という気づきや、「ようやく原因が分かった」という納得感は、ご本人の生きづらさを和らげてくれるかもしれません。 

 

例えば、あるこころの病気を抱えている人が、医師から診断名を告げられることで、ようやく自分の辛さの正体が分かり、気が楽になるというケースが多々あります。このように、病気であることが分かることで生じるメリットのことを「疾病利得」と言います。 

HSPは病気ではないので、「疾病利得」とは言えませんが、似たような経験をされる方も多くいることでしょう。 

 

このように、HSPという概念を知ることで、自己理解につながり、結果的に気持ちが楽になるというケースでは、HSP概念がその人の役に立っているといえるでしょう。 

 

 

周りの人の理解が得やすくなる 

 

親や友人、教師などにHSP(HSC)であるということを理解してもらうことにより、できそうにないことを無理強いされなくて済んだり、苦手な部分をサポートしてもらったりと、その方にとって生活しやすい環境づくりがしやすくなるでしょう。 

 

HSCの子への配慮については、『HSCの子育てハッピーアドバイス』に書かれている、

「ひといちばい敏感な子の自己肯定感を育む大切な10のこと」が参考になったので、以下に引用させていただきます。 

 

①子どもを信じる 

②抱きしめる 

③共感する 

④気持ちを言葉にして返す 

⑤ネガティブな感情を吐き出させる 

⑥スモールステップを設定する 

⑦心の安全基地を作っておく 

⑧その子のペースを尊重する 

⑨少し背中を押してみる 

⑩他人と比べるより、自分のゴールを目指そうと伝える 

といったものです。 

 

どれも大変納得できる内容ですが、よく考えてみると、これらの対応が大切なのは、HSCの子に限った話ではないなと思いました。 

HSC気味な私の娘に対しても、とても有効な考え方だと思うので、参考にしていきたいです。 

 

と、ここまでが、私が考えるHSP(HSC)概念を取り入れることで得られるであろうメリットです。 

 

要は、自己理解の促進、安心感、さらに周りからのサポートを得やすくなるということですね。 

 

では、逆にデメリットはないのでしょうか? 

 

 

HSP(HSC)概念を取り入れることのデメリット 

 

これはHSPに限った話ではないのですが、ある枠組みを過度に自分や他人に当てはめようとすることの危惧です。 

 

例えば、20年くらい前から、発達障害という概念が徐々に浸透してきました。これにより支援が充実し、救われた発達障害を抱える方はたくさんいることと思います。 

しかし、一般にもこの概念が浸透するにつれ、「自分は発達障害ではないか」と心配する方が急増します。 

もちろん実際当てはまる方も大勢いるのですが、どう見ても考え過ぎだろうという方も中にはいます。 

また、支援者の間でも「発達障害」という概念が当たり前に共有されてくると、「絶対に見逃さないぞ!」と意気込み、ちょっとでも気がかりな子は「発達障害疑い」とレッテル貼りされるケースが出てきます。 

いわゆる「過剰診断」(実態を超えて多くの発達障害診断が出てしまう)も危惧されます。 

 

HSPも、これだけ世の中に浸透してくると、「自分もHSPなのではないか」と思ったり、実際に専門家に相談しようとする人もたくさん出てくるでしょう。 

それはそれで、先ほど挙げたメリットにつながればよいとは思いますが、ほんの一部しか特徴が当てはまらないのに、HSPだと思い込んでしまう人も出てくると思われます。 

「自分はHSPだから」という免罪符を得ることで、少しでも苦手とすることには挑戦しなくなってしまうかもしれません。 

こうなるとデメリットの方が大きくなってしまうと思います。 

 

あと、怖いのは、うつ病や不安障害、発達障害といった、より深刻な状態を見逃してしまう可能性があるということです。 

私は、HSPの特徴を知ったとき、刺激に過度に敏感であるという点が、発達障害と似ているなと感じました。 

両者を区別しやすいポイントは、共感性が強いか弱いかだと言われています。 

発達障害のある方は一般的に、他者の気持ちを読み取ることが苦手です。逆にHSPの方は、DOESのEにも表れているように、共感性がとても高いです。 

 

なので、見る人が見れば区別できるとは思うのですが、当事者からしたらそこまで判別することは難しく、例えば発達障害を抱える人が、「自分はHSPだったのか。原因が分かったのなら安心だ」と支援の手を借りるチャンスを逸してしまうかもしれません。 

うつ病にしても発達障害にしても、早めに治療や支援につながることで予後がよくなると言われているので、このタイミングが遅れることは、その後の人生に悪影響を及ぼすこともあり得ます。 

 

逆に、HSPだと思って精神科を受診してみたら、実はうつ病だった、発達障害だったということもあるかと思います。この場合は、治療や支援につながるきっかけとなるわけですから、考えようによってはラッキーなケースだと言えるかもしれません。 

 

いずれにせよ、HSPという流行に安易に飛びつくのではなく、冷静に考えてみることが大事です。また、どうしても心配であれば、自己判断せずに精神科の先生やカウンセラーに相談してみることもよい方法だと思います。 

 

 

おわりに 

 

今回のようなHSPや、発達障害のように一つの枠組みが流行すると、それに飛びつく人が増えるのは世の常のような気がします。 

 

それで得られるメリットもあれば、デメリットもあるので、そこを冷静に見極めていく姿勢が必要だと思います。 

 

これは私のような支援する側の人間にも言えることで、あまり大きな声では言えませんが、なんでもかんでも「発達障害」にしたがる人というのは、正直います。 

なにかラベリングをすることで分かったような気になってしまい、それ以上思考停止してしまうという人も少なくありません。(正直なところ、私自身にも覚えがある話です…) 

 

なので、私自身、流行の考え方に流されすぎないよう、 

でも使える部分は活用して、といった柔軟さを忘れないようにしたいと思っています。 

  

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございました! 

トークンエコノミー法 うまくいくケース、うまくいかないケース|子どもの自発性を引き出すコツ

こんばんは 

2児の父であり長期育休中こころふです 

 

私は心理職として10数年働いてきましたが、 

実際のところ、育児にどのくらい心理学が活かせるのか、試している日々でもあります。 

 

以前、わが家でトークンエコノミー法(特定の行動を増やすことを目的とする行動療法の技法の一つ)を取り入れているという記事を書きましたが、 

今回それをもう少し掘り下げて書いてみたいと思います。 

 

 

わが家のトークンエコノミー活用状況 

 

わが家では、娘がお手伝いをしてくれたら、シールをあげ、一定数たまったら、おもちゃなど娘が欲しがるもの(それほど高くないもの)をプレゼントする、というルールになっています。 

 

以前からある程度軌道にのっていたのですが、最近になり、さらに効果が加速してきたような気がしています。 

 

例えば、昨日のできごとですが、 

長女は幼稚園から帰ってくるなり、「お花に水あげる~、庭の掃除もする~、シールちょうだい」と言い出しました。 

 

私がOKすると、本当に積極的に水やりや掃除を始めたではありませんか! 

しかもそれを真似して、下の子も水やりを始めるというオマケつき!! 

 

水やり、庭掃除なんて、私は妻から言われない限りまずやらないようなズボラ人間(いかん!)なので、「本当におれの子か?」と疑いたくなるレベルです(笑) 

 

お手伝いのほかにも、歯みがき、ご飯の完食などの場合にもシールをあげていますが、やはり以前より確実に対象行動が増えてきたと感じています。 

 

なお、この方法が有効なのは、ある程度ルールを理解できるようになる3歳くらいからだと思います。 

 

 

うまくいくケース、そうでないケース (相談にのってきた経験から) 

 

手軽に取り入れられる手法であるため、私が心理職として子育て相談にのってきた中で、何度も提案してきた方法です。 

 

例えば、宿題をさぼりがちなお子さんがいたとしたら、 

本人や家族とよく話し合ったうえで、 

「宿題ができたら1ポイント、20ポイントたまったら漫画を1冊買ってもらえる」などのルールをつくり、お子さんの学習へのモチベーション向上を目指したりします。 

 

ただ、このように誰にでも理解しやすい簡単な方法でありながらも、うまくいくケースとそうでないケースがあります。 

 

この違いは何なのでしょう? 

 

もちろん、支援者としての私の見込み、詰めが甘かったり、単純にその家庭に合う・合わないという理由もあるでしょうが、それらを超えて、私の経験上感じている点を挙げてみたいと思います。 

 

 

うまくいかないケースにありがちなこと 

 

①親子関係がわるい 

 そもそも親子間でうまくコミュニケーションがとれていません。

 なので、システムの導入自体でつまづく可能性もありますし、導入できたとしても、お互い感情的になりやすい状態なので、そのやり取りの中でケンカになってしまいます。

 うまくいく可能性は低いので、まずは親子関係の改善を目標にするか、同時並行で進めるべきだと思います。 

 

②親の子どもへの期待が強すぎる 

 親が期待をかけすぎてしまうことは禁物です。

 ルールづくりを話し合う中で、どうしても課題の難易度が高くなってしまい(例:「勉強を3時間できたら1ポイント」など。勉強嫌いな子がそんなにできるはずありません!)、結局子どもはほとんどトークンをもらえない、という悲しい結果になりがちです。

 そうなると、親はがっかりするわ、子どもの自己肯定感は下がるわで、よいことはありません。 

 このへんは、支援者が間に入り、うまく調整していけるとよいです。 

 

③子どもが課題をこなしても、親がトークンを与えない 

 せっかく子どもが課題をこなしても、親がトークンを与えない場合があります。

 単にルールを忘れていることもあれば、そのときの機嫌であげない、ということもあります。

 これをされると子どもの行動強化が起こらないだけでなく、親への不信感にもつながってしまうので注意が必要です。

 また、トークンはなるべく行動の直後に与えるようにしましょう。

 これを「即時フィードバック」といいます。 

 

④バックアップ強化子のバランスがわるい(高価すぎる) 

 トークンと交換できるごほうびのことを「バックアップ強化子」と言います。

 先の宿題をさぼりがちな子の例でいうと、漫画のことです。

 例えば、目標とする課題が簡単でトークンもすぐに集まるのに、バックアップ強化子はそれに見合わず高価なおもちゃ(ゲームソフトなど)であった場合、親は何度も高価なおもちゃを買い与えることになってしまい、結果的に続かなくなります。

 バックアップ強化子を決める際は、課題の難易度、必要なトークン量とのバランスをよく考えましょう。

 もし、課題が簡単なようであれば、必要なトークン量は多く設定するなどの工夫が大事です。 

 

 

うまくいくためのコツ 

 

以前の記事で書いた内容とかぶりますが、 

うまくいくためのコツについてあらためて簡単に挙げておきます。 

 

①実現可能な課題を設定する 

②表を視覚化しておく 

③なるべく子どもがワクワクするような工夫をする 

 (トークンを魅力的なシールにする、表に好きなキャラクターの挿絵を入れるなど) 

④即時フィードバックを行う 

⑤ルールは適宜柔軟に修正する(そのときの気分で勝手に変えるのはNG) 

⑥コーディネートしてくれる存在(支援者)がいればなおよし 

 

他にもあるはずですが、思いついた点を挙げました。 

 

 

 

おわりに 

トークンエコノミーは愛着のあるテクニックなので、今回ちょっと深堀してみました。 

 

わが家ではたまたま(今のところ)うまくいっていますが、もちろん万能な方法ではありませんし、慣れないと失敗するケースも多いです。 

 

ただ、仮に失敗したとしても、状況が悪化しないよう配慮することは必要かと思います。それを防ぐためにも、やはり親が期待をかけすぎないこと。 

 

過度な期待は子どもに過度なプレッシャーを与えますし、失敗したときお互いの精神的ダメージが大きくなりやすいです。 

 

手軽に導入できることがメリットなので、「失敗してもいいや」くらいにかまえて取り組むとよいと思います。 

 

 

なお、わが家のトークンエコノミーも、まだまだ工夫の余地があると考えているので、バージョンアップが成功したら、また報告させていただくかもしれません(^^) 

 

 

以上、最後まで読んでいただき、ありがとうございました! 

子どもの気持ちの切り替えがスムーズにできたという話|ちょっとした声かけの工夫

 

こんばんは。 

2児の父で、現在育休中のこころふです。 

 

心理職として子育ての相談にのることも多かったのですが、 

自分自身が子育てを経験しながら、 

あらためて学ばされることが多いと感じる毎日です 

 

今日はちょっとしたことですが 

おもしろいことがあったので、書かせてもらいます 

 

 

公園で遊ばせるときの悩み 

 

うちの1歳の娘(みーこ)はブランコが大好き。 

 

公園に連れていくと必ずブランコにのり、 

それから何十分でものり続けてしまうというところがあります。 

 

長時間のっていると周りのたちが遠巻きに 

「ブランコのりたいな~」という顔をしながら見てきます。 

そばにいるママさんも、 

「どうかな~、もうすぐ空くかな~」という感じで、 

こちらをチラリとうかがいます。 

 

公園でのマナーとして、そして親としての気まずさもあり、 

やはりそこは、娘にブランコをかわってあげるよう促します。 

 

しかし… 

 

わが娘のブランコへの執着はすごいものがあり、 

ほとんどの場合、首を横にふって全力拒否します。 

 

私なりに 

「そろそろお友達にかわってあげようね」 

「あと10回こいだら終わりにしようね。い~ち、に~・・・」 

などと、いろいろ声をかけますが、たいてい不発に終わるので、 

最終的には力づくでブランコから引っぺがし、 

泣き叫ぶ娘をなだめながら抱っこして連れていく 

・・・となることが多いのです。 

 

まだ1歳の子に、 

誰かのために自分の欲求を我慢しろというほうが無理なのは 

分かっているのですが、 

だからといってずっと遊ばせておくわけにもいかず、 

どうにかならないかな~と悩んでいました。 

 

 

今日の出来事 

 

今日は朝から天気がよかったので、近くの公園に連れて行きました。 

 

そして予想どおり、娘はブランコに直行し、 

長時間満喫コースに突入。 

周りには徐々に子どもが集まり始め・・・ 

と、よくあるシチュエーションに。 

 

しかし、 いつもなら焦ってしまうところですが、 

今日の私はなんとなく、こころの余裕がありました。 

 

なぜなら、 

「もうなるようになれ~、アハハ~(*´▽`*)」と開き直っていたからです!

なんか天気もよかったしね(笑)

 

そこでまずは、 

「みーちゃん、あっちのすべり台で遊んでみようよ」と 

ダメもとで声をかけてみたところ、 

案の定首を横にふる娘。 

 

アチャー(ノ∀`)と思いながらも、今度は、 

「みーちゃん、あっちの電車を見に行こうよ」と穏やかに声をかけてみたのです。 

 

というのも、 

公園に着くまでの途中、電車がとおる音を聞き、 

娘が「(電車)見た~い」と言っていたのを思い出したからです。 

しかも、ちょうど近くから電車を見られるスポットがあったのです。 

 

 

すると、

なんと、 

娘が「うん」と首を縦にふったではありませんか!! 

そして、するりとブランコからおりる娘。 

 

めったに見ない展開に、

内心「よっしゃー!」とガッツポーズでした。 

 

 

今日の気づきポイント 

 

・子どもは簡単に自分の欲求を我慢できない。 

 「我慢させる」のではなく、 

 「ブランコ(熱中していること)から気をそらす」ほうが有効。 

 

・何が刺さる(ヒットする)かは子どもによりけり。 

 その日によっても変わる。 

 日ごろから、何が刺さるかアンテナを張っておくことが大事。 

 

・あわてず、できるだけ穏やかな口調で声かけする。 

 

 

といったところではないでしょうか。 

 

そういえば、上のおねえちゃんに 

登園準備させるときも、穏やかに声かけするほうがスムーズにいきますね。 

 

やはり何事も親のこころの余裕が大事ですね!

 

 

最後まで読んでいただいた方、ありがとうございました!